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パチンコ・パチスロ継続意向 若年プレイヤーほど低い

日遊協加盟企業の有するホールおよび九遊連青年部加盟ホールの来店客に店内で実施された2019年度の「ホール来店客調査」によると、今後もパチンコ・パチスロを継続したい(とてもそう思う+そう思う)と回答した来店客は年代が高いほど多く、男性60代以上層では65.5%、女性60代以上層では72.7%。継続意向者の割合は男性18歳~29歳層では48.3%、30代層では47.3%、女性18歳~29歳層では33.4%、30代層では35.5%にとどまっている。



本調査は来店しているプレイヤーを対象に実施したものであるため、回答者の86.1%は週1回以上の頻度でホールに行っている高頻度プレイヤーだった。このような回答者属性であるにも関わらず若年層の継続意向者率が50%を割っているという実態は、パチンコホールがいかに脆い支持基盤の上に成り立っているかを表していると言える。

『パチンコ・パチスロプレイヤー調査』(エンビズ総研、シーズ、APJによる共同調査)など、これまで行われている別の調査から、若年層の特に遊技頻度が高い層ほど、多くのレジャー種目(公営ギャンブルを含む)を遊んでいるという傾向が分っている。そういった層にとってパチンコ・パチスロは、高頻度で遊んでいるとはいえ、多くのレジャー選択肢のひとつという存在だと考えるべきだろう。

継続意向の主な理由を年代別に見ると、男性18歳~29歳層では「遊びたい機種が置いてあるから、多いから」「機種が面白いから」の機種に関する理由2つが上位。この両方とも継続理由の上位だったのは18歳~29歳層だけ。他の年代では「立地や駐車場の関係でホールに行きやすいから」「ホールがきれいで居心地がよいから」など、遊技機以外の要素が上位に入っている。つまり男性18歳~29歳層にとってのパチンコ・パチスロという遊びは遊技機のウェイトが非常に大きく、他の要素によってホールに惹きつけられているという意識はない。
継続意向の理由のTOP3に遊技機に関することが挙がっていないのは、男性40代層と男性60代以上層、女性50代層、女性60代以上層。これらの層に共通するのは「店員の対応、態度が良いから」「ホールがきれいで居心地がよいから」の2つが継続理由の上TOP3に入っていること。 




不満点は「あまり連チャンしない」

現在のパチンコ機への不満点として上位に挙がったのは、「あまり連チャンしない」「大当たりしにくい」「大当たり時の出玉が多く期待できない」。※報告書のサマリー版では来店客全体の回答のみが公表されており、性・年代別の結果は公表されていない。前述の通り回答者全体の集計結果は、シニア層の回答にウェイトを付ける処理をしているため、シニア層の回答に引っ張られている可能性がある。パチスロ機の不満点についても同様の注意が必要。
パチスロ機の不満点として上位に挙がったのは、「あまり連チャンしない」「大当たり時の出玉が多く期待できない」「大当たりしにくい」。

調査では、「将来パチンコ店にあったら便利だと思う施設・サービス」について、8項目を提示して尋ねている。その中で最も多くの支持を得たのは「キャッシュレスで遊技できるシステム」だが、回答者全体の25.4%にとどまっている。報告書のサマリー版には性・年代別の回答は公表されていないが、年代ごとに反応は大きく異なっているかもしれない。
次いで多くの支持を得たのは「遊技履歴や使用金額が逐一把握できる会員アプリ、会員サービス」だがわずか16.6%。これらの結果から判断すると、来店客のほとんどはすでに行きやすくて、きれいで居心地のいいホールを選んでおり、ホールに対して施設・設備・サービス面での不足感はあまり抱いていないと考えられ、付帯施設・サービスによる差別化の余地はほとんど残されていない可能性がある。

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