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4月, 2021の投稿を表示しています

日本IR導入の現状 RFPプロセスにあるのは4自治体

現在、日本ではIR導入を目指す4つの自治体が事業者公募~選定プロセスにある。IR導入を正式表明し事業者公募(RFP)を始めているのは横浜市、大阪府市、和歌山県、長崎県の4箇所。かつて国内外から動向が注目されていた東京都は現時点で事業者公募をスタートしておらず、自治体が国土交通省に区域整備計画の認定を申請する期限(2022年4月28日まで)に間に合う可能性はほぼない。よって、上記4箇所の中から最大3箇所が選ばれることになる。 横浜市は2月15日時点でRFPの参加資格審査を通過した事業者は1者。資格審査書類の受付期間は5月17日まで。 大阪府市は追加募集を行ったが4月6日の期日までに応募はなく、MGM・オリックスコンソーシアムに7月頃までに提案書類の提出を求め、9月頃までに同者を設置事業者とするか否かを決定する。 和歌山県は昨年3月にRFPの参加資格審査書類の提出を締め切り、5月に2者が審査を通過したと公表。この時点では2020年11月中旬に優先権者を決定するとしていたが、このスケジュールは「2021年春」と延期された。仮にこのスケジュール通りに進んでいるなら、すでにコンソーシアム構成員の資格審査も終えていることになり、近日中に何らかのアナウンスがあるはずだ。 長崎県は4箇所の中でもっとも着実にプロセスを進めていると見られる。今年1月に開始したRFPの登録資格審査を応募5事業者すべてが通過。3月19日に1次審査で絞り込まれた3事業者名を公表した。2次審査の書類提出期限は6月で、8月には事業者を決める予定。 4月21日と22日の2日間にわたってオンラインで開催された『Japan IR FORUM』に登壇した美原融氏(特定非営利法人ゲーミング法制協議会理事長)は、IR事業者は市場環境が好転していない状況の中で日本への投資の確約をしなければならず、特に横浜市の募集要項の要求は高いハードルだと指摘した。また、国が区域整備計画の認定申請期間を延長する可能性は極めて低いとの見解を述べた。

Sales per pachinko/pachislot machine in Feb. 25% lower than last year

The monthly “Statistical Survey of Specific Service Industries” conducted by the Ministry of Economy, Trade and Industry found that in February sales per pachinko/pachislot machine in the roughly 1,200 parlors surveyed were JPY301,000 (US$2,760), or about 75.2 percent of the 2020 figure. Restaurants and bars were required to close by 8 pm, while the 2nd state of emergencies, from 8th January till 21st March. But pachinko parlors had not been asked to close early. Nevertheless, sales have never recovered. In October 2020, sales per game machine recovered 83.6 percent of the same month of the previous year. However, after that, sales declined as some kind of pachislot machines which had been breadwinners were removed from parlors. The industry is forced to continue to remove them out because the specifications of those machines do not conform to the current regulations.

パチンコ・パチスロプレイヤー1年間に200万人減少 若年層の減少が顕著 2021年2月調査

遊技業界に特化したマーケティング会社シーズのリサーチ部門(シーズリサーチ)が4月12日、エンタテインメントビジネス総合研究所(EBI)、アミューズメントプレスジャパン(APJ)と共同で今年2月に実施した調査結果の速報を公表した。 3社の共同調査よると、パチンコ参加人口(過去1年間に1回以上当該種目を遊んだことがある人)は前年調査より18%減り推計732万人、パチスロ参加人口は同20%減の573万人。パチンコ、パチスロの少なくとも一方を1回以上遊んだ人(=遊技参加者)は813万人と推計された。 新型コロナウイルス感染症が広がる中、ホールの現場からは「高齢者が来店を控えている」との認識を聞くが、市場全体を俯瞰すると 遊技参加者の減少が顕著なのは18歳~29歳層 で、次いで30代。新規則機への移行(高射幸性機の撤去)による影響が大きいと考えられる。 調査結果の詳細は、月刊アミューズメントジャパン5月号および、シーズリサーチ著の『パチンコ・パチスロプレイヤー調査2021』(5月下旬刊行予定)でレポートされる。  

パチンコホール収益力 2021年2月は前年同月比75%

経済産業省が毎月実施している「特定サービス産業動態統計調査」をもとに算出した2021年2月度の遊技機1台当たりの月間売上高は、前月より2万9200円低い30万1,000円(1日当たり1万1,200円、27日で計算)だった。前年同月比は75.2%で前月とほぼ同水準。   新型コロナウイルス感染症拡大防止のために発令された緊急事態宣言下は5月下旬に解除され、遊技機1台当たりの売上高は、6月には前年同月比68.0%、10月には同83.6%へと回復した。しかし、これ以降の売上水準は低下に転じ、2度目の緊急事態宣言が実施された1月には前年同月比8割を下回った。 ただし、2019年1月からの推移を見ると、遊技機1台当たりの月間売上高の前年割れは2019年7月からすでに始まっている。集客の落ち込みは新型コロナウイルス感染症拡大ばかりではなく、高射幸性遊技機の撤去なども要因と考えるのが妥当だ。 同調査は全数調査ではなく、売上規模が大きい大手~準大手法人を対象にしたもの。調査対象法人の店舗数合計は1,204店で全国店舗数の約13%。 上記の調査結果から計算した遊技機1台当たり売上の変化はあくまでも大手~準大手法人の営業店舗の売上傾向を表しているものであり、市場規模の変化の幅を表すものではない点に注意。

大阪府市 夢洲IR 追加募集に応募事業者なし

大阪府IR推進局は4月6日、追加募集を行っていたIR設置運営事業者の公募(RFP)に応募した事業者がなかったことを公表した。大阪府・市が他自治体に先駆けて事業者公募を開始したのは2019年12月で、2020年2月に参加申込の締切期日までに応募したのはMGM・オリックスコンソーシアムの1事業者だけだった。それまで大阪に熱い視線を送っていた海外IR事業者の関心は、2019年8月にIR導入推進を正式表明した横浜市に移ったためだ。新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、RFP参加申込締切後に国土交通省が「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(=基本方針案)の修正版を発表し、これに応じて大阪府が「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備 実施方針(案)」(=実施方針)を一部修正したことなどを理由に、大阪府はIR事業者の資格審査書類の追加受付を行うことを2月に発表した。この実施方針の修正は、開業時の施設規模の要求水準の引き下げや、全面開業時期を実質白紙にしたことなど大きな変更があった。しかし資格審査書類の追加受付期間である3月19日から4月6日までに新たな応募事業者はなく、参加登録はMGM・オリックスコンソーシアムの1事業者の状況は変わらなかった。府市は7月頃までに提案書類の提出を求め、9月頃までに設置運営事業者を決める予定。 [関連] ▼ 大阪・夢洲IR 実施方針修正 全面開業時期は実質白紙に  〔2/16/2021〕 ▼ 大阪・夢洲IRとMGMリゾーツの状況  〔10/16/2020〕 ▼ 横浜IR産業展 セガサミーHDの参入表明が注目集める  〔1/31/2020〕 ▼ 横浜市 IR誘致を正式表明 ~カジノ事業者の関心は大阪から横浜へ  〔8/23/2019〕

中国の「カジノ国への渡航制限」は日本IRに影響を及ぼすか?

2019年の訪日外国人旅行消費額4兆8千億円のうち中国・香港からの旅行者の支出は実に44%を占めている。訪日客数で見ると中国・香港からが全体の37%を占め、ヨーロッパ(6%)や米国(5%)からの訪日客数を大きく上回る。中国の経済成長を考えれば、日本IRが開業するころには中国からの訪日客への依存度はさらに高まっているはずだ。中国政府は昨年、カジノを有する近隣国・都市への渡航規制を実施すると公表した。対象国・都市は明らかにされていないが、「渡航規制」という政策は将来の日本IRの脅威にならないのだろうか? カジノ業界のベテラン・コンサルタント、アンドリュー・クレバノウ氏に中国の「ブラックリスト・システム」の背景と見通しを解説してもらった。           *       * 文=アンドリュー・クレバノウ(Klebanow Consulting 代表) By Andrew Klebanow, Principal, Klebanow Consulting 江田憲司衆院議員(立憲民主党)が2月に提出した質問主意書は、「中国は、海外のカジノが自国民の財産や安全を脅かしているとして、カジノがある外国都市への渡航を制限するブラックリスト制度の創設を公表した」として、日本がブラックリストに加えられた場合、日本IRは中国人観光客の来場を期待できなくなるのではないかとの懸念を示し、日本政府の見解を問うた。 中国政府はブラックリストに載せた国々を明らかにしていないが、おおむね察しはついている。それらの東アジア諸国では、COVID-19パンデミック後の観光経済の再開時に、中国からの旅行者を迎え入れることができない可能性が大きい。中国が報復の形として、自国民の他国への渡航規制を発動したのは初めてではない。記憶に新しいのは2016年で、韓国が米国製のミサイル防衛システムを配備したことへの報復として、中国政府は韓国への渡航を制限した。韓国への中国人観光客は50%も減少し、顧客の大部分を中国人客に依存している韓国のカジノ産業(17あるカジノのうち16が外国人専用カジノ)に大きな打撃を与えた。 中国がブラックリストを作った理由 20年近くの間、東アジア諸国のカジノは中国人にギャンブルを提供してきた。それらのカジノは、カジノゲストを募集し航空輸送を手配しギャンブルのクレジット(与信)を提供する中国の事

China’s Possible Influence on IR Development

By Andrew Klebanow, Principal, Klebanow Consulting China Possible Influence on IR Development   In February of 2021, a member of Japan’s House of Representatives voiced his concern regarding the country’s future development of integrated resorts.  He asked government officials if Japan risked being added to a blacklist of countries developed by the Peoples Republic of China (PRC), should Japan move forward with development of its three planned integrated casino resorts.     The question was prompted by an announcement in 2020 by the Chinese Ministry of Culture and Tourism that it had established a blacklist of overseas tourist destinations that targeted mainland Chinese customers for gambling purposes.  Those countries could expect to see travel restrictions imposed on Chinese citizens seeking to travel at a time when all east Asian nations will be restarting their tourism economies.     This would not be the first time that the PRC used restrictions on tourism to other countries as a

カジノ管理委員会 施行規則案を公表 ディーラーへの心づけ(チップ)禁止

カジノを含む統合型リゾート(IR、特定複合観光施設)の運営事業者を管理監督するカジノ管理委員会は4月2日、IR内に設置されるカジノ規制についての施行規則案要旨を公表した。また同日、「カジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則案」および「特定資金移動履行保証金及び特定資金受入保証金に関する規則案」についてパブリックコメント(意見公募手続)を開始した。 公表された文書では、カジノ内で認められるカジノゲーム種目(カジノ行為)の実施基準や各種目の粗収益の集計方法、依存防止やマネーロンダリング防止などの内部管理に関する規制、コンプ(Complimentary=無料特典)の規制、カジノ客への金融サービス(特定金融業務)の規制案などが明らかにされた。 諸外国の実施状況を勘案して規定されたゲーム種目はテーブルゲーム9種目21バリエーションと電子ゲーム機(スロットマシン等)。テーブルゲームはバカラ(2分類)、トゥエンティワン(4分類)、ポーカー(8分類)、カジノウォー、クラップス、シックボー、ルーレット(2分類)、マネーホイール、パイゴウ。これら種目の電子テーブルゲームシステム(ETG)およびディーラー操作式電子テーブルゲームシステム(いわゆるライブディーラーETG)についても規定されている。ポーカーについてはトーナメントも認められる。これらはカジノ管理委員会が認める種目であり、必ずしもIR事業者がこれらすべての種目をカジノに導入するとは限らない。日本古来のギャンブル種目である花札は記されていない。 著しく顧客の射幸心をそそることを防止する観点から、カジノ事業者は、カジノ行為を長時間連続して行っていることその他の言動を勘案し、引き続きカジノ行為を行わせることが適当でないと認めるカジノ客に対して、一時的にカジノ行為を休止するよう促さなければならない。ただし、その基準については記されていない。 カジノ行為の公正性を確保するという観点から、ディーラーは心づけとしてチップを受け取る行為が禁止される(下記参照)。アメリカではカジノディーラーの給与は低く、収入の多くをカジノ客からのチップに依存している。ディーラーがカジノ客からチップを受け取れないことにより、事業者の人件費負担が大きくなると考えられる。    *   * 【参考】カジノ管理委員会関係特定複合観光施