スキップしてメイン コンテンツに移動

スポーツベッティング解禁で NY州が米国最大の市場に

2022年1月にスポーツ・ベッティングが解禁されたニューヨーク州では、9月から3カ月連続して月間ゲーミング収益(Gross Gaming Revenue)の最高記録が更新された。11月の総ハンドル額(Handle, 賭け額)は15.53億ドル(約2140億円)で総ゲーミング収益は1.48億ドル(204億円)だった。

1月から11月までの累計ハンドル額は145.68億ドル(2兆67億円)、ゲーミング収益は12.17億ドル(1676億円)、主として教育振興とギャンブル依存対策に使われる税収が6.21億ドル(855億円)。これに加えて州はスポーツ・ベッティング・オペレータから計2.25億ドル(310億円)のライセンス料を得ている。

ライセンスを持つオペレーターは9社で、Bet MGM、シーザーズ・スポーツブック、ウィン・インタラクティブ、Resorts World Bet、Rush Street Interactiveなど、多くはランドベースカジノ・オペレータが母体だ。1月から11月までの累計ゲーミング収益で圧倒的なシェアを占めているのはFANDUEL SPORTSBOOKで47.9%(累計収益は5.82億ドル=801億円)。次いでDraftKings Sport Bookで25.5%(同3.10億ドル=427億円)。

米国では31の州と1つの独立行政区ですでに合法スポーツベッティングが運営されている。これを合算したスポーツベッティングの総収益は1月から9月末時点の累計で前年比71.4%増の47.8億ドル。同期間のニューヨーク州のスポーツベッティング収益は9.23億ドルで、全米の同収益の19.3%を占めている。スポーツベッティングにおいてニューヨーク州は、先行していたニュージャージー州、ペンシルバニア州、バージニア州を追い越し、一躍全米最大のマーケットに踊り出た。ニューヨーク州のGDPは全米3位で、スポーツベッティングを解禁している州の中では最も大きいので当然の結果と言えよう(※GDP1位のカリフォルニア州も、2位のテキサス州もスポーツベッティングを解禁していない)。
スポーツベッティング解禁によって、州内の既存コマーシャルカジノのゲーミング収益は2021年比で減っていない。 




コメント

このブログの人気の投稿

タイの「カジノを含む大型複合娯楽施設」はあっというまに開業するだろう。

多額のお金を消費してくれる外国人客の誘致により経済を活性化させるため、また、違法ギャンブルビジネスへの消費の流出を防ぐために、タイ王国は、カジノを含む大規模な複合娯楽施設(Entertainment Complexesと呼ばれている)を開設する法律的な準備(=カジノ合法化)を進めている。3月28日の下院では出席議員257人中253人が賛成票を投じ、この結果が内閣に送られた。そもそもタイ国王(ラーマ10世)が非常に前向きらしいので、カジノ合法化はほぼ確実とみられている。 日本のカジノ合法化議論の起点をどこと捉えるかは、いろんな見方があるだろうけど、個人的には、石原都知事の「お台場カジノ構想」発表(2002年)によって火が付いたと思っている。だとすると、IR推進法成立(2016年)まで14年もかかったことになる。IR実施法成立(2018年)から国内IR第1号の夢洲IRの開業予定時期(2030年)まで12年もかかる見込み。 こういった日本の状況を振り返り、「タイに実際にカジノを含む複合娯楽施設が開業するのはずっと先のことでしょ?」と思う人もいるかもしれない。しかし、日本の進みの遅さが異常なのであって、タイのカジノは、あっという間にできるだろう。3~4年もかからない。なんせ、タイのセター政権は、法律が成立したら「2年以内にオープンさせる」という目標を掲げているのだから。 そしてタイ労働省は、この複合施設(複数)開設による雇用創出を「少なくとも5万人」と見込んでいる。日本で構想されているIRよりも小型の施設が想定されているため、この雇用者数見込みから逆算すると合計施設数は6~8施設を念頭に置いているのだろう。 立地として目されているのは、国際空港から半径100km圏あるいは特定の観光地域、国境(入国検問所)の近く。地元メディアが例として挙げた地名は、南部ならPhuket(プーケット), Phangnga(パンガー), Krabi(クラビ), 北部ならChiang Mai(チェンマイ), Chiang Rai(チェンライ), Phayao(パヤオ)。 text Tsuyoshi Tanaka

メルコリゾーツ 2025年にスリランカでカジノ施設開業目指す

マカオで「シティ・オブ・ドリームズ」などのカジノを含む統合型リゾート(IR)を運営するMelco Resorts & Entertainment(以下、メルコ)は4月30日、スリランカのJohn Keells Holdings(以下、ジョン・キールズ)とのパートナーショップを発表した。ジョン・キールズはコロンボ証券市場に上場するスリランカ最大規模の複合企業グループで、メルコはジョン・キールズがコロンボ中心部で進めている10億米ドル(約1545億円)規模のIR開発プロジェクト「Cinnamon Life Integrated Resort」(2019年に部分開業)に参画する。メルコとのパートナーシップにより同IRのブランド名は「City of Dreams Sri Lanka」に変更され、客室数800室以上のホテル、リテール、飲食店、MICE、そしてカジノを含むリゾートになる。 メルコが全額出資した子会社は、すでにスリランカ政府から20年間のカジノライセンス付与されている。メルコは「City of Dreams Sri Lanka」のカジノフロアと、ホテルの最上階の113室を運営する。同社の発表によると、カジノへの初期投資額は約1億2500万米ドル(約193億円)。 ノンゲーミング施設の完成は最終段階にあり、2024年第3四半期(7月-9月)の完成予定。カジノ施設の開業は2025年の半ばを見込んでいる。 メルコの会長兼最高経営責任者であるローレンス・ホー氏は、「私たちはスリランカには計り知れない可能性があると信じており、この機会は私たちの既存の不動産ポートフォリオを補完するものです。City of Dreams Sri Lankaはスリランカの観光需要を刺激し、経済成長を促進する触媒として機能することが期待されています。 私たちはこの事業を確実に成功させるために、パートナー企業およびスリランカ政府と緊密に協力し続け、地元社会と経済に大きくプラスの影響を与えることを期待しています。」とコメントしている。 スリランカ最大の都市コロンボには、政府ライセンスのもとに営業している地元資本のカジノが4軒が営業している。このうち3軒の客層は明らかに外国人(主としてインド市場)が大多数を占め、「City of Dreams Sri Lanka」の開...

ゲーミング・スタンダード協会 通信プロトコルに関するセミナー開催

アメリカに本拠を置く非営利法人インターナショナル・ゲーミング・スタンダーズ・アソシエーション( International Gaming Standards Association 、以下IGSA)は6月2日(太平洋標準時刻)、ゲーム管理システム(Game to System,以下G2S)についての ウェビナー (オンライン・カンファレンス)を開催。「G2Sシステムはどのようにゲーミング産業に価値をもたらしているか?」というテーマに沿い、ゲストスピーカーそれぞれの立場からG2Sのメリットを語った。 G2Sとは、EGM(電子ゲーム機)と自社システムの間で情報を交換するための、IGSA標準の通信プロトコル。ソフトウェアのダウンロード、リモート構成、リモートソフトウェア検証、ネイティブの組み込みプレーヤーユーザーインターフェイス(PUI)など、多くの高度な機能を可能にする。 ゲストスピーカーにゲーミング業界のスペシャリストとして、Paul Burns氏(Atlantic Lotteriesの戦略&マーケティング担当シニアマネジャー)、Erik Karmark氏(Western Canada Lottery CorporationのGaming and Operations担当バイスプレジデント)、Greg Bennett氏(Alberta Gaming Liquor & Cannabisの技術製品&コンプライアンス担当シニアマネジャー)を招へい。IGSAのMark Pace氏(ヨーロッパ担当マネージング・ディレクター)がモデレーターを務めた。   VLT(ビデオ・ロッテリー・ターミナル)とスロットマシンのシステムと機器の統合に携わってきた立場から、Greg Bennett氏は、「G2Sプロトコルはカジノ管理委員会に於いて認証許可を受けており、これを使用することで得られた最大のメリットはゲーム機器に情報をダウンロードできること」だと述べた。 「ゲームのダウンロード、OSのダウンロード、請求書アクセプターのダウンロード、カードリーダー、さらにはプリンター等々。非常に広い管轄地区内のすべての場所に、技術者が物理的に出かけてソフトウェアをアップグレードするとしたら数カ月はかかるであろう作業が、数時間でできる。これによりソフトウェアの更新をより...

パチンコ頻度が減ると競馬の頻度も減る

パチンコ・パチスロプレイヤーの公営ギャンブル参加者率はノンプレイヤーの5倍から6倍。つまり、ギャンブルレジャーに積極的な人々だ。 レジャー予算が限られているとしたら、ある種目を遊ぶ頻度を増やした人は、他の種目の頻度を減らさざるを得ない。つまり、各レジャー種目どうしはコンペティターということになる。 これまでにもサーベイによって、遊技頻度が減ったパチンコ・パチスロプレイヤーが代わりにどのレジャーの頻度を増やしたのかを調べようと試みたが、はっきりしたことはわからなかった。 数年前に他社の調査研究部門も同様のサーベイの結果、「パチンコ・パチスロへの支出を減らした人が、どういうレジャーに支出を増やしたか、明確なものは見つからない。つまり、直接的にパチンコ・パチスロの代替となっているレジャーはないのかもしれない」と結論付けた。 今年2月上旬にエンタテインメントビジネス総合研究所(Entertainment Business Institute)、シーズ(SEES)、アミューズメントプレスジャパン(Amusement Press Japan)が合同で実施した『パチンコ・パチスロプレイヤー調査2019』では、全国の18歳~69歳の男女3万1240人への調査の中で、パチンコ・パチスロ以外のレジャーについても参加状況を尋ねている。この分析から下記の結果を得ている。※参加者とは、過去1年間に1回以上その種目を遊んだ人を指す。 パチンコの参加者率は9.4%(推計911万人) パチスロの参加者率は7.1%(推計685万人) ※少なくともどちらか一方を遊んだ参加者(=遊技参加者)は1015万人 競馬の参加者率は9.9% 競艇の参加者率は4.1% 競輪の参加者率は3.6% オートレースの参加者率は2.9% 成人全体における公営ギャンブルの参加者率は上記の通りだが、遊技参加者における公営ギャンブル参加者率はぐっと高まり、下記のようになる。 競馬の参加者率は43.7% 競艇の参加者率は29.4% 競輪の参加者率は26.0% オートレースの参加者率は23.8% 確率上は、パチンコ・パチスロをやらない人が100人集まっても、その中に競馬をやる人は6、7人しかいない。しかし、パチンコ・パチスロをやる人が100人集まれば、そこには競馬をやる人は43人も...

2019年の余暇市場規模は72.3兆円 前年比0.6%増加

日本生産性本部の余暇総研は 8 月 24 日、 2019 年の余暇活動調査や各種産業データを取りまとめた 『レジャー白書2020』の概要を発表した。 2019年の余暇市場全体の市場規模は前年より 0.6 %増加して 72 兆 2,940 億円だった。微増にとどまっているのは、余暇市場の約 27 %を占めるパチンコ・パチスロ産業が前年比マイナスだったためで、パチンコ・パチスロ産業を除いて計算すると余暇市場規模は前年比 2.2 %増加で、7年連続のプラス成長。   余暇市場は、スポーツ部門、趣味・創作部門、娯楽部門、観光・行楽部門に分類され、4部門いずれも前年比で増加した。娯楽部門にはパチンコ・パチスロが含まれるため、市場規模の増加率は0.1%にとどまったが、公営競技が好調で、特にボートレースと地方競馬が 大きく伸びた。 2019 年のパチンコ・パチンコ市場規模(貸玉収入、 Gross pay-ins )は ダイコク電機が先に発表した通り、前年より0.7兆円減少して 20.0 兆円 だった。   2019年のパチンコ参加人口(※)は前年より 60 万人減り 890 万人で、『レジャー白書』の調査開始以降、最も少ない推計値だった。東日本大震災の前年(2010年)には1,670万人だったので46.7%も減少したことになる。 ※参加人口とは、過去12カ月間に1回以上、当該レジャーを遊んだことがある人の推計値。 ※ 同調査の調査票は「パチスロ」については尋ねていないので、パチンコ参加人口には、パチスロのみを遊んでいた人は含まれていないと捉えるのが妥当。 公営ギャンブル・くじの参加人口は、中央競馬が830万人、地方競馬が330万人、ボートレース(競艇)が180万人、競輪が110万人、オートレースが60万人、宝くじが2,640万人、サッカーくじ(toto)が670万人。 同調査は今年1月から2月に全国の15歳から79歳の男女にインターネット調査で行われ、有効回答数は3,539人。回答者の性・年代の人口構成比は、日本居住者の性・年代の人口構成比に準拠するようウェイトバック集計されている。           *         * [備考]  シーズ、エンビズ総研、APJ が今...