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政府、大阪・夢洲IR計画を認定する方針

政府は大阪府市が申請しているカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備計画を認定する最終調整に入ったと、複数のメディアが4月12日に報じた。岸田文雄内閣総理大臣が本部長を務める特定複合観光施設区域整備推進本部(IR推進本部)が14日に最終判断する模様だが、大阪府市と同様に整備計画を申請している長崎県の計画は、今回は認定を見送られ審査が継続される見込み。

IR区域整備計画は、昨年4月28日の期限までに、大阪の人工島・夢洲での開業を目指す大阪府・市(IR事業者はオリックスと日本MGMリゾーツ ※日本MGMリゾーツは米国MGMリゾーツ・インターナショナルの完全子会社)と、佐世保市ハウステンボス町での開業を目指す長崎県(IR事業者はCASINOS AUSTRIA INTERNATIONAL JAPAN ※同社の主要株主はオーストリアのCASINOS AUSTRIA INTERNATIONAL)が国土交通省に提出していたが、約1年が経とうとしている現在まで、公式なアナウンスがなされていなかった。

大阪府市の計画によれば、IRが認定されれば、工事が最も早く進捗した場合の開業時期は2029年秋から冬頃だが、「IR事業の税制上の取扱い及びカジノ管理規制の整備状況、夢洲特有の地盤性状への対応状況、工事環境等によっては、工程は1~3年程度後ろ倒 しとなる可能性がある」としている。ここで触れられている通り、夢洲には土壌汚染と軟弱地盤による液状化の懸念があり、この対策工事のために大阪市は約790億円を投入することになっている。

長崎県の計画については、その提出直前の県議会でも資金調達先の金融機関の具体名が明かされず、「資金計画が不透明」との指摘があった。計画提出後の昨年9月に、長崎県は、スイスの金融大手クレディ・スイスがIR開発に融資の意向を示していることを明らかにした。しかしちょうどそのタイミングで、クレディ・スイスは過去の不祥事の有罪判決や巨額損失から急速な顧客流出が始まり、今年3月には米国シリコンバレー銀行の破綻の余波を受け経営危機に陥り、ついにはUBSによって買収されることとなった。 長崎県の大石賢吾知事は、クレディ・スイスの経営悪化が報じられた3月中旬には、「現時点で県もIR資金調達計画に影響を及ぼすものではないと考えている」と発言していたが、これはUBSによる買収が決まる前のことであり、すでに状況は変わっている。

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