スキップしてメイン コンテンツに移動

IR開業がもたらす経済波及効果  ~サプライヤーのビジネス機会

INTERVIEW
ナイル・マーレー マーレー インターナショナル代表
統合型リゾート(IR)の誕生が目の前に迫っている。IR設置は大きな経済波及効果が期待されるからこそ、地方自治体は誘致を目指している。どのIR事業者が選ばれようと、日本の事業者(サプライヤー)から膨大な量の製品・サービスを調達することになる。サプライヤーにとって大きなビジネスチャンスが生まれるのだ。IR誘致を推進している佐世保商工会議所でサプライヤー向けのセミナーを終えたコンサルタント、ナイル・マーレー氏に話を聞いた。〔文中敬称略〕 
text by Tsuyoshi Tanaka(Amusement Japan)

Niall Murray Chairman of Murray International Group

──今回の来日は、佐世保市や長崎県内の中小事業者向けのセミナーでしたね。IRが開業すれば、地域の事業者はサプライヤーとして大きなビジネスチャンスがあるわけですね。

マーレー マカオ、シンガポール、ラスベガスなどIRの導入に成功した国では、IRを、経済を刺激し、海外からの投資を引き寄せ、ビジネス旅行者および娯楽旅行者を増加させ、失業者を減らし、未開発の地域を活性化し、税収を引き上げる策であると見ています。日本もIRに同様の期待をしています。これは間違いありません。私自身がアメリカ、マカオをはじめ、数カ国で多くのプロジェクトに参加してきて、開業前と開業後の都市の変化を見てきました。

──日本ではIRの規模や地域への経済波及効果が具体的にイメージされていないかもしれません。

マーレー まず、IRの主要な特徴をご説明しますと、次の3つです。第1に、統合されていること。一流のカジノに、ホテル、F&B、MICE、小売店、ナイトライフ、スパ、レジャー、エンターテイメント、スポーツ施設、テーマパークが備わっています。第2に、幅広い客層への訴求。ゲーミング客とノンゲーミング客の両方へ。そして高額を消費するVIP層から、ビジネス旅行者、地元の人など幅広く集客します。第3に、大規模。施設そのものが非常に大規模であり、大きな先行投資を呼び込み、多くの観光客数を引き寄せ、税収、雇用創出の効果も非常に大きいのです。
IRは開発費が数十億ドル(数千億円)規模の大型リゾートです。世界の3大IRは、第1が「First World Hotel Genting Highlands in Malaysia」(7351室)で、これは日本の大規模ホテルの上位3つの客室を足したよりも多いのです。第2が「The Venetian & Palazzo in Las Vegas」(7117室)、第3が「MGM Grand in Las Vegas」(6852室)です。世界の大規模ホテルの上位50のうち、39施設はカジノ施設を持っています。このうち10施設がラスベガスに、6施設がマカオにあります。しかし、カジノ面積はごく一部です。現代のIRでは、ゲーミング以外の施設が総床面積(Gross Floor Area, GFA)のほとんどを占めています。GFAに占めるカジノの面積は10%未満ですが、これが重要な経済のエンジンで、一般的にはキャッシュフローの50%以上を占め、全体的な収益を押し上げ、他の施設への投資を促進させます。

(プロフィール) 
リゾートホテル、カジノ産業での30年以上の国際的な経験を持ち、開業前の運用開発、パフォーマンスの最適化、ゲストサービス標準の設計、運用手順、人事管理プロセス、トレーニングおよび開発を行ってきた。マカオのSands Macau、The Venetian Macau、MGM Macau、MGM Cotai、SJMで上級管理職を歴任。コンサルタントとして独立後、MURRAY INTERNATIONALでは、大規模な統合型リゾート、カジノリゾート、ホテルの戦略策定おび運用開発、パフォーマンスの最適化、開発~開業準備プロセスに重点を置いたコンサルティングを提供。日本ではIR誘致を進めている自治体の商工会議所にアドバイスを行っている。


IRの多くの部門が外部委託を必要とする

──IR実施法では、IR事業者はIR施設内の非常に多くの機能を一体として運営することとなっています。

マーレー 海外でも多くのIR事業者がIR施設を自社で運営していますが、たいていの場合、自社運営部門と外部企業へアウトソースする部門とを組み合わせています。IR事業者は、彼らにとって主要な核となるビジネスと収益源に集中する必要があるからです。彼らは主としてホスピタリティ、ゲーミング、およびMICEビジネス事業者です。これらのコア事業に焦点を当てるために、IR事業者はトップレストラン、有名シェフ、小売業者、SPAオペレーター、エンターテインメント提供事業者と提携し、多数のアウトソーシングサービス事業者に仕事を委託するのです。 現代のIRは一般的に72を超える部門で構成されます。これらの各部門が、それぞれの業務を成功裏に遂行し、最適なレベルのパフォーマンスを達成するために、外部の専門企業による支援を必要とします。

──日本のIRでもカジノ事業に直接的にかかわる部分以外では、外部への委託が認められそうです。

マーレー 運営の委託と同様に、調達、つまりサプライヤーの協力も必要です。IR企業が必要するサプライヤーの例を挙げると、造園、建築、インテリアデザイン、印刷、制服とリネンのランドリーとドライクリーニング、館内清掃、物流、機械類のメンテナンス、ITサポート、家具・什器・備品と消耗品・備品)の調達と供給、人材の採用(求人広告、人材紹介業、人材派遣を含む)などがあります。日本には多くのパチンコホールがあり、その運営にも多くのサプライヤーが関わっているはずです。そういったサプライヤーはIR施設にもサービスや商品を提供する、大きな機会があります。しかし、サプライヤーの間でも競争はあります。

──IRを誘致できれば、地域の事業者は待っていれば仕事がくる、というわけではないのですね。

マーレー IR事業者に選ばれることは簡単ではありません。IRは潤沢な資金があるので、製品やサービスの調達においても、その時点で調達できる最新で最も洗練されたシステム、プロセス、手法を採用するのです。選ばれる側が供給体制を、IR事業者の仕様やオペレーションにシームレス(継ぎ目がないようスムーズに)に適合させる必要があります。そのために私は、その地域のサプライヤーのビジネスチャンスを特定し、IRのニーズを満たし契約を勝ち取るために必要な製品とサービスを開発するサポートを行ってきました。 IR事業者のニーズと仕様を満たし、競合する事業者に勝つためには、自社の運用を変更したり最新のものにしたりするための設備投資も必要でしょう。しかし、パチンコ業界のサプライヤーも、取り扱い製品とサービスをIR事業者向けに調整する労力と費用を費やす価値は十分にあります。

IR周辺地域のレジャー・娯楽施設にも恩恵がある

──パチンコホールの中には、顧客が奪われるのではないかと心配する声もあります。

マーレー 私は世界各地で上級幹部としてまたコンサルタントとして、IRの開業準備に携わってきて、IRの開業がその地域の既存産業異を活性化する例を見てきました。私はパチンコ業界のサプライヤーだけでなく、ホールじたいも直接的な利益を得る可能性があると考えています。日本が想定しているIRの規模というのは、数千人の核となるメンバーを直接雇用します。さらに間接的にIRをサポートする事業のために同数の人々が雇用されます。シンガポールのMBSでは1万8000人が直接雇用され、その他に数千人がテナント店舗の従業員として働いています。直接雇用される従業員には高い給与が支払われ、手厚い福利厚生と年次有給休暇が与えられます。
しかし彼らは、自分が働いているIRでギャンブルをすることはできません。その代わりに、地域内でのレクリエーション、レジャー、娯楽活動に多くの時間とお金を費やすでしょう。地域のサプライヤーはIR事業者と取引することで業績は高まり雇用者を増やし、従業員の所得も増えます。パチンコホールが、こういった人々を惹きつける魅力を備えていれば、彼らの余暇を過ごす大事な場所となり、恩恵を受ける可能性が十分にあります。さらに、IRを毎日訪れる数万人の国内外の旅行者(たとえば、ベネチアン・マカオには毎日12万人が訪れます)も、ほんの一部にせよ、IRの地域都市にある、魅力的なパチンコホールに立ち寄る可能性があるでしょう。とりわけ外国人旅行者にとってパチンコは、日本でしか体験できない娯楽です。

──私はパチンコホールからIR施設への人材流失を危惧していますが、IR立地地域では、IR施設で働く人たちのための娯楽のニーズが高まることは間違いなさそうですね。

マーレー 間違いありません。IR開業はもう目の前に迫っていますし、IR開業がもたらす事業機会は無視するにはあまりに大きい。もしこの記事をお読みのあなたが、パチンコホール向けのサプライヤーか店舗開発に関わる事業者で、日本のIRのことをビジネスチャンスと意識していなかったとしたら、企業の戦略を見直すことをお勧めします。IRの開発規模、そこから生まれるアウトソースビジネスの規模、IR事業者のニーズ、要件、対応の仕方などを弊社から学べばよいのです。私はすでにいくつかの都市で商工会議所の会員企業向けにレクチャーを行い、彼らがIR企業と契約を獲得できるようサポートを行っています。今後数年のうちにIRと連携するには、いまから彼らの要求に応える準備が必要なのです。

Profile
Niall Murray specializes in large integrated resorts, hotels and casinos with a focus on strategic and operations development, performance optimization, human resource management, and in the pre-opening process.
Niall has over 30 years of international experience and has led pre-opening operations development, performance optimization, designed guest service standards, operating procedures, human resource management processes, training and development and created an exceptional work environment for several of the world’s most successful Integrated Resorts. Niall has held progressive strategic consulting and senior executive positions with MGM Macau and Cotai, SJM, The Venetian and Sands in Macau; The Venetian and Caesars Palace in Las Vegas; Four Seasons, Ritz-Carlton, Omni and Sheraton Hotels in the US and Canada; and the Disneyland Resort in Paris.

ナイル・マーレー氏はアイルランドのダブリン出身で、トリニティ・カレッジで経営理学の学士を取得し、ダブリン工科大学でホテル、レストラン・ケータリングの経営について学び、国際経営学の経営学修士を修了。ニューヨーク、オンタリオ、パリ、ラスベガス、マカオなど様々な都市でカジノリゾートやマルチユースプロパティの開発を成功させてきた。
彼は統合型リゾートがサプライヤーに何を求めることになるのかを知り尽くしているため、日本でどの会社が統合型リゾートの開発・運営事業者に選ばれるかに関わらず、サプライヤーとなる日本企業に対していまの段階から必要なアドバイスをすることができる稀有な存在だ。
サプライヤーに選ばれるための、地域企業同士の競争はもう始まっているのかもしれない。
editor=Tsuyoshi Tanaka

コメント

このブログの人気の投稿

オンラインカジノ 日本から100万人超が参加か?

海外のオンラインカジノ事業者が日本市場へのプロモーションを強化している。同じギャンブル系レジャーであるパチンコ・パチスロ遊技者とオンカジの親和性は高いはずだ。 オンラインポーカーに関する情報を発信するメディア「PORKERFUSE」に9月、「Online Gambling Booming in Japan(日本におけるオンライン賭博の流行)」と題する記事が掲載された。 オンラインゲーミング事業者が日本市場に期待していることは間違いないが、現在、導入が進められようとしている統合型リゾート(IR)に関する法律では、カジノはランドベースカジノを前提としている。そもそもカジノは、観光振興政策のためのIRに付随するものなので、国内におけるオンラインカジノ事業の合法化は、この文脈の中ではまったく想定されていない。筆者は昨年1月に、内閣官房でIR推進を担当していた方から直接、「オンラインゲーミングの解禁が議題に上がったことはない」と聞いている。 先の記事は、「日本にはギャンブリングレジャーの種目が少ないというわけではないし、 パチンコ という非常に人気のある娯楽がある」としながらも、これらには物理的な制約があるため、「日本のプレイヤーはますますインターネットに目を向け、海外のオンラインカジノが日本人向けにゲームを提供している」としている。 この記事が指摘しているように、明らかに日本人に向けて、日本語でさまざまな特典を提示してオンラインカジノ・ゲームに誘導しているサイトがいくつもあることから、すでに多くの日本人が参加していると考えるのは不自然なことではない。しかも、そういったサイトの広告を見かける頻度は今年に入り非常に増えたと感じることからも、営業活動を強化していることがうかがわれる。 いったいどれほどの市場がすでに形成されているのかは見当もつかないが、もっとも親和性が高い属性と考えられる パチンコ・パチスロプレイヤー(以下、遊技者) を対象に本誌が8月に実施したアンケート調査の中で、オンラインギャンブル(ライブストリーミング、iGaming、スポーツベットを含む)で遊んだ経験の有無などを尋ねた。   パチンコ・パチスロ遊技者では若年層、高頻度層でオンカジ参加率が高い その結果、調査対象である首都圏在住の20代~70代(各年代のサンプル数は均等に割り付け)の遊技者の27....

メルコリゾーツ 2025年にスリランカでカジノ施設開業目指す

マカオで「シティ・オブ・ドリームズ」などのカジノを含む統合型リゾート(IR)を運営するMelco Resorts & Entertainment(以下、メルコ)は4月30日、スリランカのJohn Keells Holdings(以下、ジョン・キールズ)とのパートナーショップを発表した。ジョン・キールズはコロンボ証券市場に上場するスリランカ最大規模の複合企業グループで、メルコはジョン・キールズがコロンボ中心部で進めている10億米ドル(約1545億円)規模のIR開発プロジェクト「Cinnamon Life Integrated Resort」(2019年に部分開業)に参画する。メルコとのパートナーシップにより同IRのブランド名は「City of Dreams Sri Lanka」に変更され、客室数800室以上のホテル、リテール、飲食店、MICE、そしてカジノを含むリゾートになる。 メルコが全額出資した子会社は、すでにスリランカ政府から20年間のカジノライセンス付与されている。メルコは「City of Dreams Sri Lanka」のカジノフロアと、ホテルの最上階の113室を運営する。同社の発表によると、カジノへの初期投資額は約1億2500万米ドル(約193億円)。 ノンゲーミング施設の完成は最終段階にあり、2024年第3四半期(7月-9月)の完成予定。カジノ施設の開業は2025年の半ばを見込んでいる。 メルコの会長兼最高経営責任者であるローレンス・ホー氏は、「私たちはスリランカには計り知れない可能性があると信じており、この機会は私たちの既存の不動産ポートフォリオを補完するものです。City of Dreams Sri Lankaはスリランカの観光需要を刺激し、経済成長を促進する触媒として機能することが期待されています。 私たちはこの事業を確実に成功させるために、パートナー企業およびスリランカ政府と緊密に協力し続け、地元社会と経済に大きくプラスの影響を与えることを期待しています。」とコメントしている。 スリランカ最大の都市コロンボには、政府ライセンスのもとに営業している地元資本のカジノが4軒が営業している。このうち3軒の客層は明らかに外国人(主としてインド市場)が大多数を占め、「City of Dreams Sri Lanka」の開...

タイの「カジノを含む大型複合娯楽施設」はあっというまに開業するだろう。

多額のお金を消費してくれる外国人客の誘致により経済を活性化させるため、また、違法ギャンブルビジネスへの消費の流出を防ぐために、タイ王国は、カジノを含む大規模な複合娯楽施設(Entertainment Complexesと呼ばれている)を開設する法律的な準備(=カジノ合法化)を進めている。3月28日の下院では出席議員257人中253人が賛成票を投じ、この結果が内閣に送られた。そもそもタイ国王(ラーマ10世)が非常に前向きらしいので、カジノ合法化はほぼ確実とみられている。 日本のカジノ合法化議論の起点をどこと捉えるかは、いろんな見方があるだろうけど、個人的には、石原都知事の「お台場カジノ構想」発表(2002年)によって火が付いたと思っている。だとすると、IR推進法成立(2016年)まで14年もかかったことになる。IR実施法成立(2018年)から国内IR第1号の夢洲IRの開業予定時期(2030年)まで12年もかかる見込み。 こういった日本の状況を振り返り、「タイに実際にカジノを含む複合娯楽施設が開業するのはずっと先のことでしょ?」と思う人もいるかもしれない。しかし、日本の進みの遅さが異常なのであって、タイのカジノは、あっという間にできるだろう。3~4年もかからない。なんせ、タイのセター政権は、法律が成立したら「2年以内にオープンさせる」という目標を掲げているのだから。 そしてタイ労働省は、この複合施設(複数)開設による雇用創出を「少なくとも5万人」と見込んでいる。日本で構想されているIRよりも小型の施設が想定されているため、この雇用者数見込みから逆算すると合計施設数は6~8施設を念頭に置いているのだろう。 立地として目されているのは、国際空港から半径100km圏あるいは特定の観光地域、国境(入国検問所)の近く。地元メディアが例として挙げた地名は、南部ならPhuket(プーケット), Phangnga(パンガー), Krabi(クラビ), 北部ならChiang Mai(チェンマイ), Chiang Rai(チェンライ), Phayao(パヤオ)。 text Tsuyoshi Tanaka

ゲーミング・スタンダード協会 通信プロトコルに関するセミナー開催

アメリカに本拠を置く非営利法人インターナショナル・ゲーミング・スタンダーズ・アソシエーション( International Gaming Standards Association 、以下IGSA)は6月2日(太平洋標準時刻)、ゲーム管理システム(Game to System,以下G2S)についての ウェビナー (オンライン・カンファレンス)を開催。「G2Sシステムはどのようにゲーミング産業に価値をもたらしているか?」というテーマに沿い、ゲストスピーカーそれぞれの立場からG2Sのメリットを語った。 G2Sとは、EGM(電子ゲーム機)と自社システムの間で情報を交換するための、IGSA標準の通信プロトコル。ソフトウェアのダウンロード、リモート構成、リモートソフトウェア検証、ネイティブの組み込みプレーヤーユーザーインターフェイス(PUI)など、多くの高度な機能を可能にする。 ゲストスピーカーにゲーミング業界のスペシャリストとして、Paul Burns氏(Atlantic Lotteriesの戦略&マーケティング担当シニアマネジャー)、Erik Karmark氏(Western Canada Lottery CorporationのGaming and Operations担当バイスプレジデント)、Greg Bennett氏(Alberta Gaming Liquor & Cannabisの技術製品&コンプライアンス担当シニアマネジャー)を招へい。IGSAのMark Pace氏(ヨーロッパ担当マネージング・ディレクター)がモデレーターを務めた。   VLT(ビデオ・ロッテリー・ターミナル)とスロットマシンのシステムと機器の統合に携わってきた立場から、Greg Bennett氏は、「G2Sプロトコルはカジノ管理委員会に於いて認証許可を受けており、これを使用することで得られた最大のメリットはゲーム機器に情報をダウンロードできること」だと述べた。 「ゲームのダウンロード、OSのダウンロード、請求書アクセプターのダウンロード、カードリーダー、さらにはプリンター等々。非常に広い管轄地区内のすべての場所に、技術者が物理的に出かけてソフトウェアをアップグレードするとしたら数カ月はかかるであろう作業が、数時間でできる。これによりソフトウェアの更新をより...

長崎・佐世保IR 事業者公募開始

長崎県は1月7日に「九州・長崎特定複合観光施設区域整備実施方針」(以下、実施方針)を策定・公表するとともに、同日、募集要項説明会をYouTubeで開催。22日には募集事項等に関する質問書に対する回答を公表した。 実施方針は、IR設置運営事業予定者の選定に当たって、IR整備法第5条に基づき国土交 通大臣が定める「IR区域の整備のための基本的な方針」(いわゆる基本方針)に則して、IR施設に係る特定複合観光施設区域の整備の実施に関する方針を定めたもの。募集要項や選定に関する手続き、県が要求するIR施設を構成する施設の種類や機能および規模、懸念事項対策などが記されている。 資格審査書類の受付期限は1月28日。第一次審査書類の結果公表後、通過事業者には競争的対話および廉潔性調査を実施し、第二次書類審査、プレゼンテーションと段階的に進められる。ただし参加資格審査通過者が3応募者以下の場合には、一次審査は実施せず、二次審査に進む。 県が想定しているスケジュールでは、今年夏から秋頃にIR事業者を選定し基本協を締結する。冬頃までに県とIR事業者で区域整備計画を作成し、佐世保市の同意、長崎県議会の決議を経て、2022年春頃に区域整備計画を国に申請する。国の申請受付期間は今年10月1日から2022年4月28日まで。 県の計画が国に認定された場合、2020年代後半にIRの開業を見込んでいる。 IR予定区域は、現在ハウステンボス社が所有する約31ヘクタール。この区域に加え、公共ハーバー・マリーナを含む提案可能港湾区域が示されており、早岐港一体提案も可能。