スキップしてメイン コンテンツに移動

パチンコ・パチスロ機1台当たり売上10年で34%減少 Revenue per machine was down 34% compared to 10 years ago.

経済産業省が2月18日に公表した「特定サービス産業動態統計調査」の確報によると、2019年の売上高上位企業におけるパチンコ/パチスロ機1台当たりの売上は年間516.9万円で、1日当たりに換算すると前年より2.1%減少し14,644円(1年=353日で計算)だった。10年前の2009年から34.4%減少した。



台当たり売上減少の要因は、大きな流れで見ると、参加人口の減少だ。パチンコ/パチスロの参加人口は2008年に推計1,469万人(※1)であったが、2018年には1,015万人(※2)へと、10年間で30.9%も減少している。これに対して遊技機設置台数は、10年前の2008年12月末(452万台)から2018年12月末(430万台)の10年間で、わずか4.9%しか減少していない。
※1 出所:エンタテインメントビジネス総合研究所の調査

※2 出所:エンタテインメントビジネス総合研究所、シーズ、アミューズメントプレスジャパンの合同調査


プレイヤーが減少しているが遊技機は減少していないため、遊技機の稼働率が低下している。ダイコク電機DK-SISによると、2019年のパチンコ機の稼働は前年比3.5%減少した。これは遊技機1台あたりの稼働状況を示す指標で、パチンコ機1台・1日当たりの発射玉数で示されている。発射玉数の減少は、遊技機1台に対するプレイヤーの総遊技時間が減少していることを意味する。

中長期で見た場合、台当たり売上の減少には、もうひとつの大きな要因がある。2000年代後半に登場し2008年頃に全国に広がった低貸営業だ。低貸営業は、パチンコは主として1円貸し、パチスロは主として5円貸しで、いずれも従来の「通常価格」の4分の1の料金で玉/メダルを貸し出している。この低貸営業遊技機の設置台数割合が2008年から2015年頃に増加した。近年は、総設置台数に占める低貸営業台数の割合はほぼ変化しておらず、2018年12月末時点で、設置されているパチンコ機の47%、パチスロ機の22%が低貸し営業として用いられている(※3)。
※3 出所:ピーワールドインサイト、アミューズメントプレスジャパンの合同調査




なお、「特定サービス産業動態統計調査」は、パチンコホール業界の売上高上位企業を抽出したもの。本調査が捕捉している上位企業の売上高合計は全国店舗の約18%、店舗数合計は約12%。パチンコ業界の全体像を推計するための調査ではない。

  ・  ・  ・

According to the statistics of the Ministry of Economy, Trade and Industry, announced on the 18th of February,  the earning power of pachinko/pachislot machines in major pachinko operators has been declining. by Tsuyoshi Tanaka

The statistic, ’Report on the Current Survey of Selected Service Industries’ show that the revenue (*1) was 5.17 million yen per pachinko/pachislot machine in 2019. The average revenue per machine per day declined by 2.1% from the previous year to 14,644 yen. In comparison with 10 years ago, it declined by 34.4%. 
From a long-term perspective, the reason for the decline in revenue per machine is the decline in the number of participant players.
The estimated number of pachinko/pachislot participants was 14.69 million (* 2) in 2008, but it has fallen by 30.9% in 10 years to 10.15 million (* 3) in 2018.

  • note1) Revenue means gross pay-ins, the amount received from pachinko balls and pachislot tokens rented to customers less unutilised balls and tokens.
  • note2) source: Entertainment Business Institute (Tokyo) 
  • note3) source: Entertainment Business Institute (Tokyo), SEES (Tokyo), and Amusement Press Japan (Tokyo)

In contrast, the number of pachinko/pachislot machines installed on pachinko halls has declined by only 4.9% in 10 years. The number of machines was 4.52 million at the end of December 2008, and 4.3 million at the end of December 2018.
Over the past decade, the number of players has decreased by 30.9% and the number of pachinko/pachislot machines has decreased by only 4.9%. For this reason, the operating rate of the machine has been reduced.
According to Daikoku Denki's 'DK-SIS' report, the operating status of pachinko machines in 2019 decreased by 3.5% from the previous year. This is an index that indicates the operating status of one pachinko machine, and is indicated by the average number of balls fired per pachinko machine per day. The decrease in the number of fired balls means that the total game time of the players has been reduced.

From a middle-term perspective, there is another major factor in the decline in revenue per pachinko/pachislot machine. It is a low-priced business model that appeared in the late 2000s and spread nationwide around 2008. In the low-priced business model, pachinko ball is lent mainly at 1 yen per ball, and pachislot token is lent mainly at 5 yen per medal. Each rental price is a quarter of the traditional business model.
The ratio of the number of pachinko/pachislot machines for the low-priced business model increased from 2008 to around 2015. In recent years, the ratio has hardly changed. As of the end of December 2018, 47% of installed pachinko machines and 22% of pachislot machines are being used for low-priced rent operations (*4).

  • note4) source: P-World Insights (Tokyo) and Amusement Press Japan (Tokyo) 
Additionally, the statistic, ’Report on the Current Survey of Selected Service Industries’ examines just the higher rank operators in sales, not complete survey.

コメント

このブログの人気の投稿

メルコリゾーツ 2025年にスリランカでカジノ施設開業目指す

マカオで「シティ・オブ・ドリームズ」などのカジノを含む統合型リゾート(IR)を運営するMelco Resorts & Entertainment(以下、メルコ)は4月30日、スリランカのJohn Keells Holdings(以下、ジョン・キールズ)とのパートナーショップを発表した。ジョン・キールズはコロンボ証券市場に上場するスリランカ最大規模の複合企業グループで、メルコはジョン・キールズがコロンボ中心部で進めている10億米ドル(約1545億円)規模のIR開発プロジェクト「Cinnamon Life Integrated Resort」(2019年に部分開業)に参画する。メルコとのパートナーシップにより同IRのブランド名は「City of Dreams Sri Lanka」に変更され、客室数800室以上のホテル、リテール、飲食店、MICE、そしてカジノを含むリゾートになる。 メルコが全額出資した子会社は、すでにスリランカ政府から20年間のカジノライセンス付与されている。メルコは「City of Dreams Sri Lanka」のカジノフロアと、ホテルの最上階の113室を運営する。同社の発表によると、カジノへの初期投資額は約1億2500万米ドル(約193億円)。 ノンゲーミング施設の完成は最終段階にあり、2024年第3四半期(7月-9月)の完成予定。カジノ施設の開業は2025年の半ばを見込んでいる。 メルコの会長兼最高経営責任者であるローレンス・ホー氏は、「私たちはスリランカには計り知れない可能性があると信じており、この機会は私たちの既存の不動産ポートフォリオを補完するものです。City of Dreams Sri Lankaはスリランカの観光需要を刺激し、経済成長を促進する触媒として機能することが期待されています。 私たちはこの事業を確実に成功させるために、パートナー企業およびスリランカ政府と緊密に協力し続け、地元社会と経済に大きくプラスの影響を与えることを期待しています。」とコメントしている。 スリランカ最大の都市コロンボには、政府ライセンスのもとに営業している地元資本のカジノが4軒が営業している。このうち3軒の客層は明らかに外国人(主としてインド市場)が大多数を占め、「City of Dreams Sri Lanka」の開...

タイの「カジノを含む大型複合娯楽施設」はあっというまに開業するだろう。

多額のお金を消費してくれる外国人客の誘致により経済を活性化させるため、また、違法ギャンブルビジネスへの消費の流出を防ぐために、タイ王国は、カジノを含む大規模な複合娯楽施設(Entertainment Complexesと呼ばれている)を開設する法律的な準備(=カジノ合法化)を進めている。3月28日の下院では出席議員257人中253人が賛成票を投じ、この結果が内閣に送られた。そもそもタイ国王(ラーマ10世)が非常に前向きらしいので、カジノ合法化はほぼ確実とみられている。 日本のカジノ合法化議論の起点をどこと捉えるかは、いろんな見方があるだろうけど、個人的には、石原都知事の「お台場カジノ構想」発表(2002年)によって火が付いたと思っている。だとすると、IR推進法成立(2016年)まで14年もかかったことになる。IR実施法成立(2018年)から国内IR第1号の夢洲IRの開業予定時期(2030年)まで12年もかかる見込み。 こういった日本の状況を振り返り、「タイに実際にカジノを含む複合娯楽施設が開業するのはずっと先のことでしょ?」と思う人もいるかもしれない。しかし、日本の進みの遅さが異常なのであって、タイのカジノは、あっという間にできるだろう。3~4年もかからない。なんせ、タイのセター政権は、法律が成立したら「2年以内にオープンさせる」という目標を掲げているのだから。 そしてタイ労働省は、この複合施設(複数)開設による雇用創出を「少なくとも5万人」と見込んでいる。日本で構想されているIRよりも小型の施設が想定されているため、この雇用者数見込みから逆算すると合計施設数は6~8施設を念頭に置いているのだろう。 立地として目されているのは、国際空港から半径100km圏あるいは特定の観光地域、国境(入国検問所)の近く。地元メディアが例として挙げた地名は、南部ならPhuket(プーケット), Phangnga(パンガー), Krabi(クラビ), 北部ならChiang Mai(チェンマイ), Chiang Rai(チェンライ), Phayao(パヤオ)。 text Tsuyoshi Tanaka

ゲーミング・スタンダード協会 通信プロトコルに関するセミナー開催

アメリカに本拠を置く非営利法人インターナショナル・ゲーミング・スタンダーズ・アソシエーション( International Gaming Standards Association 、以下IGSA)は6月2日(太平洋標準時刻)、ゲーム管理システム(Game to System,以下G2S)についての ウェビナー (オンライン・カンファレンス)を開催。「G2Sシステムはどのようにゲーミング産業に価値をもたらしているか?」というテーマに沿い、ゲストスピーカーそれぞれの立場からG2Sのメリットを語った。 G2Sとは、EGM(電子ゲーム機)と自社システムの間で情報を交換するための、IGSA標準の通信プロトコル。ソフトウェアのダウンロード、リモート構成、リモートソフトウェア検証、ネイティブの組み込みプレーヤーユーザーインターフェイス(PUI)など、多くの高度な機能を可能にする。 ゲストスピーカーにゲーミング業界のスペシャリストとして、Paul Burns氏(Atlantic Lotteriesの戦略&マーケティング担当シニアマネジャー)、Erik Karmark氏(Western Canada Lottery CorporationのGaming and Operations担当バイスプレジデント)、Greg Bennett氏(Alberta Gaming Liquor & Cannabisの技術製品&コンプライアンス担当シニアマネジャー)を招へい。IGSAのMark Pace氏(ヨーロッパ担当マネージング・ディレクター)がモデレーターを務めた。   VLT(ビデオ・ロッテリー・ターミナル)とスロットマシンのシステムと機器の統合に携わってきた立場から、Greg Bennett氏は、「G2Sプロトコルはカジノ管理委員会に於いて認証許可を受けており、これを使用することで得られた最大のメリットはゲーム機器に情報をダウンロードできること」だと述べた。 「ゲームのダウンロード、OSのダウンロード、請求書アクセプターのダウンロード、カードリーダー、さらにはプリンター等々。非常に広い管轄地区内のすべての場所に、技術者が物理的に出かけてソフトウェアをアップグレードするとしたら数カ月はかかるであろう作業が、数時間でできる。これによりソフトウェアの更新をより...

マカオ 8月のカジノ収益は前年のわずか5%

マカオ特別行政区のゲーミング産業の規制機関、博彩監察協調局(DICJ)によると、8月のカジノ収益(GGR)は前年同月比94.5%減の1,330 million パタカ(約176億円)。 1月から7月の累計収益は36,394 millionパタカ(4,832億円)で前年同期の18%にとどまっている。  

2019年の余暇市場規模は72.3兆円 前年比0.6%増加

日本生産性本部の余暇総研は 8 月 24 日、 2019 年の余暇活動調査や各種産業データを取りまとめた 『レジャー白書2020』の概要を発表した。 2019年の余暇市場全体の市場規模は前年より 0.6 %増加して 72 兆 2,940 億円だった。微増にとどまっているのは、余暇市場の約 27 %を占めるパチンコ・パチスロ産業が前年比マイナスだったためで、パチンコ・パチスロ産業を除いて計算すると余暇市場規模は前年比 2.2 %増加で、7年連続のプラス成長。   余暇市場は、スポーツ部門、趣味・創作部門、娯楽部門、観光・行楽部門に分類され、4部門いずれも前年比で増加した。娯楽部門にはパチンコ・パチスロが含まれるため、市場規模の増加率は0.1%にとどまったが、公営競技が好調で、特にボートレースと地方競馬が 大きく伸びた。 2019 年のパチンコ・パチンコ市場規模(貸玉収入、 Gross pay-ins )は ダイコク電機が先に発表した通り、前年より0.7兆円減少して 20.0 兆円 だった。   2019年のパチンコ参加人口(※)は前年より 60 万人減り 890 万人で、『レジャー白書』の調査開始以降、最も少ない推計値だった。東日本大震災の前年(2010年)には1,670万人だったので46.7%も減少したことになる。 ※参加人口とは、過去12カ月間に1回以上、当該レジャーを遊んだことがある人の推計値。 ※ 同調査の調査票は「パチスロ」については尋ねていないので、パチンコ参加人口には、パチスロのみを遊んでいた人は含まれていないと捉えるのが妥当。 公営ギャンブル・くじの参加人口は、中央競馬が830万人、地方競馬が330万人、ボートレース(競艇)が180万人、競輪が110万人、オートレースが60万人、宝くじが2,640万人、サッカーくじ(toto)が670万人。 同調査は今年1月から2月に全国の15歳から79歳の男女にインターネット調査で行われ、有効回答数は3,539人。回答者の性・年代の人口構成比は、日本居住者の性・年代の人口構成比に準拠するようウェイトバック集計されている。           *         * [備考]  シーズ、エンビズ総研、APJ が今...