アジア圏のゲーミング産業の動向を伝えるメディアブランド「IAG(Inside Asia Gaming)」が運営するオンライン・インタラクティブ・イベント「GAME(Gaming Asia Mega Experience)」の8月27日に開催され、Bay City Ventures(横浜市)の代表でコンサルタントの國領城児氏が、日本のIR導入計画の状況について講演した。
日本IRについては、政府が7月26日までに「基本方針」を公表すると期待されていたが、これが見送られたため、誘致を目指す自治体の事業者選定プロセスが遅れる可能性が高まった。スケジュールがどうなるかは、IRビジネスへの参画を目指すさまざまな事業者にとって大きな関心ごとのひとつ。自治体がパートナーとなる事業者を選定した後、共同して事業計画を策定し、国土交通省に対してIR誘致申請(区域整備計画の認定申請)をするが、この受付期間は現状では来年1月から7月末までの間。國領代表は、「中央政府への申請の前には、市議会の承認、県議会の承認など、多くの必要な手続きがあるので、(IR事業者と自治体が共同で策定する)事業計画は、来年5月にはできていなければならないことになる」と説明。
政府は現時点ではこの「来年7月末」という期限の延期を公表していないが、世界的なCOVID-19拡大という状況を鑑み延期されるだろうと見られている。憶測は、「3カ月」から「2年」とさまざまだが、國領代表は「半年から1年だろう」との見解を述べた。
その上で、特に海外の関係者が関心を寄せている、コンソーシアムの仕組みやプレイヤーからの源泉徴収の可能性、ラスベガスサンズが再び日本市場参入を表明する条件などについて解説した。
コンソーシアム入札の仕組みについては、特に大阪を指し「面白い状況」だと表現。大阪市のRFPによりオリックスとMGMのコンソーシアムが選ばれたとして、「制度上は、その後、中央政府への申請までの間にコンソーシアムのいずれかの企業が他の企業に代わっていてもいい」と、理論上は、オリックスが最終的にMGMに代わり他のカジノ事業者をコンソーシアムに迎え入れた形で区域認定申請することが可能だと説明した。
ただしこれは、これから行われる実際のRFPで、コンソーシアム内でのカジノ事業者の役割の大きさや、自治体に選ばれた後のどのタイミングでカジノ事業者が交代するか、どういうカジノ事業者に交代するか等、さまざまな条件がクリアされる必要がある。自治体は、区域認定申請が認められた後の、カジノ管理委員会によるカジノライセンスの取得が可能かどうかを含めてIR事業者を選定するため、コンソーシアム内のカジノ事業者の交代は非常に大きな影響を与えるはずだ。
ラスベガスサンズについて國領氏は、「東京都がIR誘致に名乗りを上げること、(現在不明確な)税制が明確になることの条件がそろえば、日本IR参入レースに戻ってくる可能性は十分ある」と見通しを語った。
コメント
コメントを投稿