アメリカに本拠を置く非営利法人インターナショナル・ゲーミング・スタンダーズ・アソシエーション(International Gaming Standards Association、IGSA)日本支部は1月28日に都内でゲーミング産業への参入を目指す日本企業向けにセミナーを開催した。
IGSAは1998年に設立されたゲ-ミング産業界における各種の規格・標準(Standards)の策定を推進する国際的な団体。日本でも馴染みのあるAristocrat Technologies、International Game Technology (IGT)、Aruze Gaming、Konami Gaming、Sega Sammy Creationなどのゲーミング機器メーカー、JCM Globalなどの周辺設備メーカー、2大検査機関のGLIとBMMなど様々な領域の企業約60社が会員になっている。
昨年、北米、ヨーロッパ、マカオに次ぐ拠点として日本支部を開設し、梶武司氏が日本マネージングディレクターに就任。これに伴い、今年1月21日に組織名をGSAからIGSAに変更した。
この日はIGSA会長のピーター・ドゥレット氏、IGSAヨーロッパMDのマーク・ペース氏、IGSA会員Sequax社MDでIGSA テクニカルアドバイザーのファルク・タジオロ氏が来日し、IGSAの歴史や組織形態を説明した。
IGSAの委員会は技術委員会と非技術委員会に大別でき、全部で11ある。技術系委員会はランドベース・カジノにおけるゲームに関連した、ゲーム・システム間委員会(G2S)、ゲーム機器標準化委員会(GDS)、システム間委員会(S2S)、データ移送委員会(XPT)があり、オンライン・ゲーミングに関連した委員会は、オンライン・ゲーミング委員会(OGC)とブロックチェーン委員会(BCC、休会中)がある。
IGSAが協調している大きなステークホルダーは、サプライヤーやオペレーターなどの産業側と政府・行政など規制機関の2つ。そのため非技術委員会の中に規制委員会(RC)があり、これを通じて政府・行政に情報を提供しつつ関係構築、環境醸成を行っている。
ランドベース・カジノの透明性を確保した上で、オペレーターに情報提供できるためにIGSAが持つ標準(Standards)には、G2S(Game to System)、S2S(System to System)、XTP(Transport)、GDS(Gaming Device Standards)など9項目がある。オンライン・ゲーミングはセントラルサーバーに接続するためTPI(Third Party game Interface)がある。規制・認証に関しては、ネットワーク経由の遠隔で端末の認証を行うNGI(Network Game Authentication Terminal Interface)など5項目。IGSA標準は北米、ヨーロッパの様々な国で導入され活用されている。
「現代は電子デバイスからの各種情報の収集が可能になっているにもかかわらず、依然として十分な情報を収集・活用できていない状況がある。その被害に遭っているのがオペレーターでありレギュレーター。ゲーミング機器のデータ仕様が各社各様のため、オペレーターはデータが社内にあるにも関わらず、抽出できず活用できていない。レギュレーターに至ってはそもそもそのデータにアクセスすることができない。我々がデータに透明性を持たせることをサポートすることで、例えばレギュレーターならそれを遠隔地からリアルタイムで監視したり、消費者保護に活用したりできるようになる。それが業界の信頼関係構築につながるのです」(ドゥレット会長)
また、IGSAが資金提供したIGSAユニバーシティーという教育プログラムを提供しており、すでに7カ国の266人に技術に関した教育トレーニングを行った。2010年には、技術・知識の移転によってアジアにおけるイノベーションを推進するためにマカオと提携した。
ドゥレット会長は、日本の状況を踏まえ、「IGSAの運営メンバーも会員も様々な分野の豊富な経験を持っている。会員企業は、必要とする知識を得るためにメンバー企業とコンタクトを取ることによって、サポートを受け、偏りのない情報を得て活用することもできる。政府・行政に対しても情報提供を行っていて、彼らが認識していながらまだ解決できていない問題点、まだ認識していない問題点などに関して、技術的なことにとどまらずどのような法律を作ればいいのか等の情報を提供している。日本ではつい最近、カジノ管理委員会が設置されたが、彼らが標準を作っていく際に日本独自のものにならないように、私たちは世界の情報を偏りなく提供していく。できるだけ世界標準に沿うことが理想だと思っているし、ゲーミング業界の歴史の中での学びに基づいた標準の確立が必要だと考えている」と説明した。
そして、日本の状況は独特で、それが利点になるとドゥレット会長は指摘した。
「産業の中にある標準は1980年代に作られたものも多々ある。今でも実用的なものもあれば、レガシー(遺跡)のようなものもある。旧態依然の標準を使わなければならいという規則が、イノベーションの妨げになっていることもある。日本の利点のひとつは、合法カジノの歴史が長いマカオと異なり、カジノ産業じたいがないため何も標準がない。そのため、古いレガシーから新しいものへの移行作業がない点。今までにない標準が作られ、最新のテクノロジーが活用されることで、しっかりした規則ができあがるはず。そして、オペレーターも政府・行政もベネフィットを得られる事業を展開することができ、日本のゲーミング産業は劇的な結果を出すでしょう」
ドゥレット会長に続いて、IGSAヨーロッパのペース氏がスロットマシンの進化の歴史について、タジオロ氏が電子ゲーミング機(EGM筐体基本構成)について解説。IGSAジャパンのテクニカルアドバイザーを務める國領ジョージ氏は、カジノ産業とパチンコ産業の認証機関のテスト内容の違いを解説した。
最後にIGSAジャパンの梶MDは、「IGSAは様々な分野の情報を提供できるだけでなく、それらに関する標準を持っており、会員企業に無償提供しているシステムもある。まずは正しい情報を収集し、ゲーミング産業に参入するかどうかの判断材料にしていただければ幸いです」と述べた。
IGSAは1998年に設立されたゲ-ミング産業界における各種の規格・標準(Standards)の策定を推進する国際的な団体。日本でも馴染みのあるAristocrat Technologies、International Game Technology (IGT)、Aruze Gaming、Konami Gaming、Sega Sammy Creationなどのゲーミング機器メーカー、JCM Globalなどの周辺設備メーカー、2大検査機関のGLIとBMMなど様々な領域の企業約60社が会員になっている。
昨年、北米、ヨーロッパ、マカオに次ぐ拠点として日本支部を開設し、梶武司氏が日本マネージングディレクターに就任。これに伴い、今年1月21日に組織名をGSAからIGSAに変更した。
この日はIGSA会長のピーター・ドゥレット氏、IGSAヨーロッパMDのマーク・ペース氏、IGSA会員Sequax社MDでIGSA テクニカルアドバイザーのファルク・タジオロ氏が来日し、IGSAの歴史や組織形態を説明した。
IGSAの委員会は技術委員会と非技術委員会に大別でき、全部で11ある。技術系委員会はランドベース・カジノにおけるゲームに関連した、ゲーム・システム間委員会(G2S)、ゲーム機器標準化委員会(GDS)、システム間委員会(S2S)、データ移送委員会(XPT)があり、オンライン・ゲーミングに関連した委員会は、オンライン・ゲーミング委員会(OGC)とブロックチェーン委員会(BCC、休会中)がある。
IGSAが協調している大きなステークホルダーは、サプライヤーやオペレーターなどの産業側と政府・行政など規制機関の2つ。そのため非技術委員会の中に規制委員会(RC)があり、これを通じて政府・行政に情報を提供しつつ関係構築、環境醸成を行っている。
ランドベース・カジノの透明性を確保した上で、オペレーターに情報提供できるためにIGSAが持つ標準(Standards)には、G2S(Game to System)、S2S(System to System)、XTP(Transport)、GDS(Gaming Device Standards)など9項目がある。オンライン・ゲーミングはセントラルサーバーに接続するためTPI(Third Party game Interface)がある。規制・認証に関しては、ネットワーク経由の遠隔で端末の認証を行うNGI(Network Game Authentication Terminal Interface)など5項目。IGSA標準は北米、ヨーロッパの様々な国で導入され活用されている。
ピーター・ドゥレット IGSA会長
「現代は電子デバイスからの各種情報の収集が可能になっているにもかかわらず、依然として十分な情報を収集・活用できていない状況がある。その被害に遭っているのがオペレーターでありレギュレーター。ゲーミング機器のデータ仕様が各社各様のため、オペレーターはデータが社内にあるにも関わらず、抽出できず活用できていない。レギュレーターに至ってはそもそもそのデータにアクセスすることができない。我々がデータに透明性を持たせることをサポートすることで、例えばレギュレーターならそれを遠隔地からリアルタイムで監視したり、消費者保護に活用したりできるようになる。それが業界の信頼関係構築につながるのです」(ドゥレット会長)
また、IGSAが資金提供したIGSAユニバーシティーという教育プログラムを提供しており、すでに7カ国の266人に技術に関した教育トレーニングを行った。2010年には、技術・知識の移転によってアジアにおけるイノベーションを推進するためにマカオと提携した。
ドゥレット会長は、日本の状況を踏まえ、「IGSAの運営メンバーも会員も様々な分野の豊富な経験を持っている。会員企業は、必要とする知識を得るためにメンバー企業とコンタクトを取ることによって、サポートを受け、偏りのない情報を得て活用することもできる。政府・行政に対しても情報提供を行っていて、彼らが認識していながらまだ解決できていない問題点、まだ認識していない問題点などに関して、技術的なことにとどまらずどのような法律を作ればいいのか等の情報を提供している。日本ではつい最近、カジノ管理委員会が設置されたが、彼らが標準を作っていく際に日本独自のものにならないように、私たちは世界の情報を偏りなく提供していく。できるだけ世界標準に沿うことが理想だと思っているし、ゲーミング業界の歴史の中での学びに基づいた標準の確立が必要だと考えている」と説明した。
そして、日本の状況は独特で、それが利点になるとドゥレット会長は指摘した。
「産業の中にある標準は1980年代に作られたものも多々ある。今でも実用的なものもあれば、レガシー(遺跡)のようなものもある。旧態依然の標準を使わなければならいという規則が、イノベーションの妨げになっていることもある。日本の利点のひとつは、合法カジノの歴史が長いマカオと異なり、カジノ産業じたいがないため何も標準がない。そのため、古いレガシーから新しいものへの移行作業がない点。今までにない標準が作られ、最新のテクノロジーが活用されることで、しっかりした規則ができあがるはず。そして、オペレーターも政府・行政もベネフィットを得られる事業を展開することができ、日本のゲーミング産業は劇的な結果を出すでしょう」
ドゥレット会長に続いて、IGSAヨーロッパのペース氏がスロットマシンの進化の歴史について、タジオロ氏が電子ゲーミング機(EGM筐体基本構成)について解説。IGSAジャパンのテクニカルアドバイザーを務める國領ジョージ氏は、カジノ産業とパチンコ産業の認証機関のテスト内容の違いを解説した。
梶武司 IGSAジャパンMD
最後にIGSAジャパンの梶MDは、「IGSAは様々な分野の情報を提供できるだけでなく、それらに関する標準を持っており、会員企業に無償提供しているシステムもある。まずは正しい情報を収集し、ゲーミング産業に参入するかどうかの判断材料にしていただければ幸いです」と述べた。
マーク・ペース IGSAヨーロッパMD
國領ジョージ IGSAジャパン テクニカルアドバイザー
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