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eスポーツにおける法律課題と対応を整理

一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が、e スポーツ大会の実施に関連する法規制と留意すべき点をまとめた「かんたん e スポーツマニュアル」を、公式サイトで公開した。
ゲーム大会の開催にあたっては、いくつかの法令違反にならないよう注意が必要。具体的には、著作権法、刑法の賭博罪、風適法、景品表示法で、その要点は下記の通り。

  • 著作権法:大会で利用するゲームタイトルの著作権をもつゲーム会社(IPホルダーともいう)の許諾を得る必要がある。
  • 刑法の賭博罪:参加者から集めた参加料から賞金を出すと、賭博行為と判断される可能性がある。
  • 風適法:参加者からお金を取ってゲームをプレーさせた場合、ゲームセンターの営業として、風適法の対象となる可能性がある。
  • 景品表示法:ゲーム会社(IPホルダー)が大会を開く際に注意するべき法令。有料ソフト、および無料アプリのうち「課金した人が有利になる」場合、賞金額に上限がかかる可能性がある。


風適法は第2条1項5号で、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業を、原則として風俗営業に該当するとしている(例外有)。つまり、ゲーム機を設置しそれをプレイするにあたりお金を徴収する場合、無許可でこれを行うと風適法違反になる可能性がある。
国家公安委員会規則で定める遊技設備については、風適法施行規則第3条2項で、「テレビゲーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし、射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)」と説明している。

JeSUのマニュアルでは、これら法律の要点と抵触しないための対応方法(勝った人への賞金提供の方法等)を説明している。

『かんたんeスポーツマニュアル』(一般社団法人日本 e スポーツ連合)
https://jesu.or.jp/wp-content/themes/jesu/contents/pdf/terms/holding-manual20210527.pdf

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