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ラスベガスサンズ 日本IR開発を見送る

日本でIR(統合型リゾート)開発を目指していた世界最大のカジノ事業者ラスベガス・サンズ(アメリカ)が、日本での事業者選定レースから撤退する。

ラスベガス・サンズは5月12日にWEBサイト上でシェルドン・アデルソン会長兼最高経営責任者の声明「日本のIR開発の機会を追求することを終了するLas Vegas Sands ends pursuit of potential Japanese development)」を発表した。

アデルソン会長は声明文の中で、日本市場参入を断念する理由として、IR開発のフレームワークへの不満を挙げており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響には触れていない。

「観光地としての日本文化への愛着と国の強さへの憧れは、COMDEXショーを日本で運営していた当時から30年以上前にさかのぼります。そのため私は常に、日本での開発の機会を望んでいました。私の日本に対する前向きな気持ちは衰えず、統合型リゾートによって生み出されるビジネスとレジャーの観光から日本が恩恵を受けると確信しています。しかし、IR開発のフレームワークによって、私たちの目標は達成不可能になりました。当社は経営資源を他のビジネス機会に集中する時が来ました」(アデルソン会長)

アデルソン会長は声明文の中で、「我が社の成長展望については非常に強気のまま」だとしているが、ラスベガス・サンズのカジノ事業はほぼ停止したままだ。
マカオでは2月15日から15日間、すべてのカジノが閉鎖され、同月20日に営業を再開したものの中国本土からの入境を制限しているため「Sands Macau」「Venetian Macau」は開店休業の状態。ラスベガスの同社のカジノ施設「Venetian」「Palazzo」は3月17日から閉鎖されたまま。シンガポールでは4月7日から5月4日までの期限でカジノが閉鎖されたが、政府は4月23日にこの期限を6月1日まで延長すると決定。「Marina Bay Sands」はカジノ、ショッピングモール、ホテルを休業している。

声明文の中で、「現在、マカオとシンガポールの両方で重要な投資プログラムを実施しており、既存のポートフォリオから意味のある新しい成長を生み出している(we are currently executing significant investment programs in both Macao and Singapore to create meaningful new growth from our existing portfolio. )」とマカオとシンガポールに触れているように、COVID-19収束後、ラスベガス・サンズは3都市の業績回復に経営資源を集中させなければならないはずだ。

同社はマカオでは既存のIR施設「Cotai Central」をリノベーションし「The Londoner Macao(澳門倫敦人)」をオープンする工事を進めている。2020年から2021年にかけて段階的にオープン予定のこのプロジェクトの予算は22億USドル(2420億円)。さらに、マカオで2022年に行われるカジノ営業権の再入札にあたっては、巨額の追加投資をコミットしなければならない。
また、シンガポールにおいては昨年4月に政府との間で45億シンガポールドル(3700億円)の追加投資に合意しており、「Marina Bay Sands」に隣接する土地に新たなMICE施設を建設することになっている。


このような背景がある中で、アデルソン会長がかねてより抱えていた日本のIR開発フレームへの不満(税率、規制法の細部がいまだ決まらないこと、ライセンス期間が10年と短かすぎる等)が限界に達したようだ。


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