厚生労働省は11月20日、ギャンブル依存症の治療を公的医療保険の適用対象とする方向で検討に入った。厚労省は「ギャンブル依存症に対する効果的な依存症集団療法プログラムが開発され、効果が確認された」と説明している。
健康保険制度や診療報酬の改定などについて審議する厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会(中医協)」が11月20日開催した総会で、ギャンブル依存症の治療を公的医療保険の適用対象とすることが提案された。厚労省は来年度の診療報酬改定に向けて結論を出すという。21日に共同通信が報じた。
中医協の総会で提示された資料によるとギャンブル等依存症の外来患者数、入院患者数は2014年度以降増え続けており、2017年度の外来患者は2014年比73・3%増の3499人、このうち69・9%が継続外来患者。2017年度の入院患者は2014年比で36・6%増加し280人だった。
これはギャンブル等依存症者が増えているということではなく、社会的な関心の高まりと、対応する医療機関の増加によるものだろう。7月に開催された中医協総会で事務局の医療課長も患者数推移の資料を指し「診断がつき始めたというか、登録され始めたということだと思われる」と説明している。
ギャンブル等依存症を外来診療している医療機関数は、2015年度には432だったが、2017年度には539と増えている。いずれも資料作成は障害保健福祉部 精神・障害保健課。
診療報酬については、公益社団法人全国自治体病院協議会が次期改定に対する要望を取りまとめ、6月に厚生労働省保健局に提出している。この中で「依存症集団療法」の算定対象を拡大し、現行の薬物依存症患者にギャンブル依存症患者を加えるよう要望している。
今回、次期診療報酬改定で効果的な治療方法に係る評価が新設される可能性が出てきたのは、「ギャンブル依存症に対する効果的な依存症集団療法プログラムが開発され、効果が確認された」(厚労省)ためだ。
11月20日の中医協総会で提示された資料によると、2016年度から2018年度に行われた日本医療研究開発機構(AMED)研究「ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医療・福祉・社会的支援のありかたについての研究」(研究開発代表者:松下 幸生・久里浜医療センター副院長)において開発されたギャンブル依存症に対する認知行動療法を主体とした全6回の標準的治療プログラムを用い、全国35の治療施設で比較試験を実施したところ、断ギャンブル率の改善が見られたという。断ギャンブル率は、治療プログラムを実施しなかった者が10%未満だったのに対して、治療プログラムを実施した者では40%を超えていた。また、治療プログラムを実施した者ではギャンブルの頻度も支出額のいずれも低減していた。
ただし、治療プログラム実施のわずか1カ月後の時点でも約6割はギャンブルを断っていないことから、集団治療プログラムに向かないタイプの依存症者がいると推測できる。
[参考]
比較試験の方法
比較試験は、20~65歳で医療機関を受診していない者を対象にSOGS(ギャンブル依存症のスクリーニングテスト)を実施し、陽性となった者に診断面接を実施し、DSM-5(アメリカ精神医学会による診断基準)ギャンブル障害の診断基準を満たした男女187人を対象とした。この187人を無作為に2分し、片方のグループには全6回の治療プログラムを実施(介入群)し、治療終了後1カ月、3カ月、6カ月の時点で電話による追跡調査を行った。もう片方のグループは治療プログラムを実施せず6カ月待機(対照群)してもらった後、1カ月、3カ月、6カ月の時点で電話による追跡調査を行った。
1カ月、3カ月、6カ月それぞれの時点で、直近1カ月間の断ギャンブル率は介入群は40%超、対照群は10%未満だった。また、直近1カ月間のギャンブルの頻度と支出いずれにおいても両者に大きな差が見られ、治療プログラムの効果が認められた。
健康保険制度や診療報酬の改定などについて審議する厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会(中医協)」が11月20日開催した総会で、ギャンブル依存症の治療を公的医療保険の適用対象とすることが提案された。厚労省は来年度の診療報酬改定に向けて結論を出すという。21日に共同通信が報じた。
中医協の総会で提示された資料によるとギャンブル等依存症の外来患者数、入院患者数は2014年度以降増え続けており、2017年度の外来患者は2014年比73・3%増の3499人、このうち69・9%が継続外来患者。2017年度の入院患者は2014年比で36・6%増加し280人だった。
これはギャンブル等依存症者が増えているということではなく、社会的な関心の高まりと、対応する医療機関の増加によるものだろう。7月に開催された中医協総会で事務局の医療課長も患者数推移の資料を指し「診断がつき始めたというか、登録され始めたということだと思われる」と説明している。
ギャンブル等依存症を外来診療している医療機関数は、2015年度には432だったが、2017年度には539と増えている。いずれも資料作成は障害保健福祉部 精神・障害保健課。
診療報酬については、公益社団法人全国自治体病院協議会が次期改定に対する要望を取りまとめ、6月に厚生労働省保健局に提出している。この中で「依存症集団療法」の算定対象を拡大し、現行の薬物依存症患者にギャンブル依存症患者を加えるよう要望している。
今回、次期診療報酬改定で効果的な治療方法に係る評価が新設される可能性が出てきたのは、「ギャンブル依存症に対する効果的な依存症集団療法プログラムが開発され、効果が確認された」(厚労省)ためだ。
11月20日の中医協総会で提示された資料によると、2016年度から2018年度に行われた日本医療研究開発機構(AMED)研究「ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医療・福祉・社会的支援のありかたについての研究」(研究開発代表者:松下 幸生・久里浜医療センター副院長)において開発されたギャンブル依存症に対する認知行動療法を主体とした全6回の標準的治療プログラムを用い、全国35の治療施設で比較試験を実施したところ、断ギャンブル率の改善が見られたという。断ギャンブル率は、治療プログラムを実施しなかった者が10%未満だったのに対して、治療プログラムを実施した者では40%を超えていた。また、治療プログラムを実施した者ではギャンブルの頻度も支出額のいずれも低減していた。
ただし、治療プログラム実施のわずか1カ月後の時点でも約6割はギャンブルを断っていないことから、集団治療プログラムに向かないタイプの依存症者がいると推測できる。
[参考]
比較試験の方法
比較試験は、20~65歳で医療機関を受診していない者を対象にSOGS(ギャンブル依存症のスクリーニングテスト)を実施し、陽性となった者に診断面接を実施し、DSM-5(アメリカ精神医学会による診断基準)ギャンブル障害の診断基準を満たした男女187人を対象とした。この187人を無作為に2分し、片方のグループには全6回の治療プログラムを実施(介入群)し、治療終了後1カ月、3カ月、6カ月の時点で電話による追跡調査を行った。もう片方のグループは治療プログラムを実施せず6カ月待機(対照群)してもらった後、1カ月、3カ月、6カ月の時点で電話による追跡調査を行った。
1カ月、3カ月、6カ月それぞれの時点で、直近1カ月間の断ギャンブル率は介入群は40%超、対照群は10%未満だった。また、直近1カ月間のギャンブルの頻度と支出いずれにおいても両者に大きな差が見られ、治療プログラムの効果が認められた。
コメント
コメントを投稿