政府は、7月26日までに公表されることが期待されていた「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針」の公表を見送った。産経新聞が7月20日に、同紙の取材に対して政府関係者が策定時期について「白紙としている」と語ったことを報じていたが、それが現実になった。
「基本方針」は統合型リゾート施設(IR)の選定基準などを定めるもので、そのドラフトは2019年に公表されている。今年1月に公表される予定だったが、IRに関連した汚職事件の影響を考えた政府は公表を見送っていた。しかし自治体やIR事業者の間では、IR整備法の公布から2年となる7月26日までに公表されるとの見方があった。
IR誘致を目指す自治体は基本方針の公表を受けて、実施方針を策定・公表し事業者選定プロセスに進むため、基本方針の公表時期が白紙となったことで事業者選定プロセスも遅れが生じる可能性が大きい。
例えば大阪府・市は6月23日の時点で、7月の予定だった提案書類の提出期限を当面の間、延長すると発表していた。さらに7月に入り、大阪万博の2年後と見込んでいたIRの全面開業時期について、さらに「1~2年程度延期される」との見通しを表明。政府が7月26日までに基本方針を公表しなかったことで、IRの開業時期はさらに不透明になった。
大阪IRの事業者公募に参加登録しているのは、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループの1事業者のみ。そのMGMリゾーツは2019年に2施設の不動産を売却しバランスシートを強化するとともに管理職の大規模なリストラを行った。しかし今回のCOVID-19禍により3月以降アメリカでの事業が停止し、マカオでもほぼ売り上げがない状態が続いており、エンターテインメント及びスポーツ部門の従業員の大多数が8月末で解雇されると報じられている。日本への参入方針に変化が起こる可能性もある。横浜市は4月の時点で実施方針および募集要項の公表時期を6月から8月に延期し、8月にこれらを公表するために6月下旬の市議会でドラフトを説明する予定だった。しかし市は6月30日の市議会での実施方針案の説明を見送った。政府が基本方針の公表時期を「白紙」にしたことで、横浜市の実施方針公表の時期も未定になった。
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