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カジノ新設で犯罪発生率、ギャンブリング障害有病率は上昇するのか? 横浜市 IRシンポジウム開催

統合型リゾート導入プロセスを進めている横浜市は12月17日、「横浜IRを考えるシンポジウム」をオンラインで開催。ギャンブル等依存症や治安等の対策について有識者による講演やパネルディスカッションを配信した。

開会の冒頭、主催者を代表し平原敏英横浜市副市長が、人口減少や高齢化などIR導入が必要な背景や区域認定プロセス、市が国へのIR区域認定申請期間(2021年10月1日から2022年4月28日まで)に申請を行えるよう民間事業者の公募・選定に取り組んでいくと状況を説明した。また、開業見込みが2020年代の半ばであるとし、「新型コロナウイルス感染症を克服した後のアフターコロナ時代の将来を見据え、IRが新たな雇用創出といった経済再生の起爆剤となり、魅力ある都市横浜がさらに飛躍できるよう取り組んでいく」と締めくくった。
第一部は「IRが及ぼす経済効果等」をテーマに、ダグラス・ウォーカー氏(米国チャールストン大学教授、元ハーバード大学医学大学院客員教授)が講演。第二部は「海外における依存症対策」をテーマに、ゴマシナヤガン・カンダサミ氏(シンガポール国家依存症管理サービス機構シニアコンサルタント、精神科医)が講演。

ウォーカー教授は、カジノ開発に対する懸念事項のひとつとして常にギャンブル障害の増加が常に挙げられるとし、これに対して「1990年代以降、世界でカジノが新設されてきたが、それによってギャンブル障害の有病者率が増加したとは認められず、『カジノの新設で有病率が増える』という主張にはエビデンスはない」と説明した。
日本については、すでに多くの合法ギャンブル種目がある中でギャンブリング障害の有病率が世界と比較して高くない水準(推定有病率は1.3%)であることと、すでにギャンブル等依存症対策基本法が制定されていることを挙げ、「すでにギャンブルに対する体制があると考えられる。カジノが新設され短期的には目新しさで発症率が増えることがあるかもしれないが、そうだとしてすぐに順応し有病率はもとの水準に戻るだろう」と述べた。

カンダサミ医師が所属するNAMS(シンガポール国家依存症サービス管理機構)は、潜在的なギャンブル依存症に専門的な支援を提供することを目的に2010年に設立された。シンガポールではこれより先の2005年にNCPG(ギャンブル依存症対策審議会)が、2008年にCRA(カジノ規制庁)が設立されており、カンダサミ氏がこれら機関の役割を説明した。
NCPGの役割・機能は内閣への助言やギャンブルに内在する問題の認識を改め高めること、ギャンブル依存症の予防と更生プログラムの研究や各種資金の決定。施策の一環として「カジノからの排除と入場回数制限」を実施している。シンガポールではカジノからの排除について、自己排除申請、家族による排除申請(近親者による代理申請)、帰属する組織による排除申請(雇用主など)のほか、破産状態にある人をはじめとして一定の要件に該当する人を本人の申請なしに排除対象者にする「自動排除」と呼ばれるプログラムがある。
カンダサミ氏は2つのIRが開業した後の2014年と2017年に実施されたギャンブリング障害の有病率調査のデータを紹介し「病的ギャンブラー(Pathological gamblers=重度)の増加は見られなかった」と説明した。病的ギャンブラーと区分された調査対象者の割合は2014年調査では0.2%だったが、2017年調査では0.1%。問題ギャンブラー(Problem gamblers=軽度)に区分された人の割合は、2014年調査では0.5%、2017年調査では0.8%。統計的に優位な差ではなかった。

2つの講演の後には、「ギャンブル等依存症対策の現状と課題」「治安等対策の現状と課題」をテーマに、2つの有識者パネルディスカッションが行われた。


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