外観の建築デザインコンセプトは「和歌浦にそびえ立つ現代の鳥居」。「和歌山が誇る日本古来からの自然美や文化、精神性等を来訪者に強く感じてもらうため」と説明されている。県が公開した資料内のパースには「Steelman Partners」の表記があることから、本文中に記述はないものの、多くのカジノリゾート建築を手がけた世界的な建築家Paul Steelman氏率いるSteelman Partners, LLP.(米国ネバダ州)が建築設計を担当すると思われる。
MICE施設は国際会議場と展示等施設に大別され、国際会議場は6,000人以上を収容できる大会議場のほか、計6,000人以上を収容する中小会議室から成る。展示等施設は国内初のエクステンション型アリーナ。MICE施設の実施体制は、専門会社をはじめとするMICE運営コンソーシアムへの委託。
宿泊施設は米カジノ事業者であるシーザーズ・エンターテインメント社に運営を委託。同社の「シーザーズ・パレス」ブランドで、VIP Suite、Players Suiteなど複数タイプの客室で構成。総客室数は2546室。このうちスイートルームが24%を占め、国際的なIR施設と比較しても高い割合とする。計画では「開業当初は中国や韓国などのアジア諸国の顧客層が中心になることを想定しているが、シーザーズ・エンターテインメントの協力も得て、欧米豪からの顧客も主要ターゲットとして見込む」としている。
中核施設のひとつである「来訪及び滞在促進施設」として、プールドーム、キッズ広場、ナイトクラブ、eスポーツセンター、超人競技センター、先端医療センター、屋上農園などが計画されている。
カジノ施設はIR事業者が直接運営しなければならないため、SPC(仮称・和歌山IR株式会社)構成員の一員であるシーザーズ・エンターテインメントがSPCに対して運営ノウハウを提供する。カジノ事業部門は合計約2,800人を採用予定で、うち2,000人がディーラー。国内にカジノ産業がないため、当初はシーザーズ・エンターテインメントの人材活用と国内外ネットワークを活用し経営幹部及び管理職を採用。雇用計画を策定の上、国内外の人材紹介会社と連携し、IR開業1~2年前から、現場スタッフを採用する。シーザーズのノウハウをベースにした「IRアカデミー研修制度」を、ギャンブル依存症研修、接客研修、コンプライアンス研修等を中心に開業前から実施する。
地域経済への効果については、建設時の経済波及効果が約7,100億円、地域の原材料・製品の活用などによる運営時の経済波及効果が約3,100億円を見込む。2030年度にはIR施設全体で約6,200人を雇用。和歌山IR区域への来訪者は約650万人、旅行消費額は約2,300億円になると見込んでいる。
県は、県民に広く意見を求めるパブリックコメントを2月9日から3月10日まで実施している。また、県民への説明会を2月28日から3月6日に14カ所で、公聴会を3月12日と13日に2カ所で実施する予定。
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