スキップしてメイン コンテンツに移動

政府 IR基本方針を閣議決定 区域認定申請期間を「2021年10月1日から」と決定

政府は12月18日、統合型リゾート(IR)の基本方針を閣議決定した。
この日の朝に開催された、特定複合観光施設区域整備推進本部(IR推進本部)の第7回会合で、赤羽一嘉国土交通大臣が基本方針案およびIR推進本部におけるIR事業者等との接触のあり方に関するルール案を説明、決定した。
基本方針案は2019年9月、その修正案は2020年10月に公表され、パブリックコメントが実施された。この修正案の中で、自治体からのIR区域認定申請の受付期間について2021年10月1日から2022年4月28日とされた。認定申請は、有識者によって構成される審査委員会で審査され国土交通大臣が認定するが、認定にあたっての考え方やルールがこの基本方針で定められる。

IR推進本部長である菅総理大臣は、プレスに向け「本日、決定された基本方針は、カジノだけでなく、国際会議場・展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設である日本型IRの整備により、魅力ある滞在型観光の実現を目指すため、今後、各地域の計画の認定を行う際の基準などを盛り込んでおります。関係各位におかれては、本日接触ルールが決定されたことも踏まえ、公正性・透明性を確保し、国民の理解を頂きながら、IRの整備にあたり必要な準備を今後も着実に進め、政府一丸となって観光先進国の実現を目指していただくよう、お願いします」と述べた。

この後、区域認定申請期間の延期や、公正性および透明性の確保を徹底するためのIR推進本部におけるIR事業者等との接触ルールを盛り込んだ基本方針が閣議決定された。 

10月9日に区域認定申請期間の9カ月延期案が示された後、世界的な新型コロナウイルス陽性確認者数の増加などの状況から「再延期」を期待する声もあったが、原案通り決定したことで、IR導入を検討してきた自治体のほとんどがこの第一ラウンドを見送ることになりそうだ。設置可能なIR施設の上限数(認定区域整備計画の数)は、最初の区域整備計画に認定日から起算して「7年を経過した場合」に再検討することになっている。

[関連記事]
政府 IR基本方針(案)公表 申請開始時期は来年10月に延期 (October 11, 2020)
IR区域認定申請期限は半年~1年延期か 國領城児氏(Bay City Ventures)が解説 (August 31, 2020)
IR区域認定申請 受付期間は2021年1月から7月 (November 29, 2019)

コメント

このブログの人気の投稿

オンラインカジノ 日本から100万人超が参加か?

海外のオンラインカジノ事業者が日本市場へのプロモーションを強化している。同じギャンブル系レジャーであるパチンコ・パチスロ遊技者とオンカジの親和性は高いはずだ。 オンラインポーカーに関する情報を発信するメディア「PORKERFUSE」に9月、「Online Gambling Booming in Japan(日本におけるオンライン賭博の流行)」と題する記事が掲載された。 オンラインゲーミング事業者が日本市場に期待していることは間違いないが、現在、導入が進められようとしている統合型リゾート(IR)に関する法律では、カジノはランドベースカジノを前提としている。そもそもカジノは、観光振興政策のためのIRに付随するものなので、国内におけるオンラインカジノ事業の合法化は、この文脈の中ではまったく想定されていない。筆者は昨年1月に、内閣官房でIR推進を担当していた方から直接、「オンラインゲーミングの解禁が議題に上がったことはない」と聞いている。 先の記事は、「日本にはギャンブリングレジャーの種目が少ないというわけではないし、 パチンコ という非常に人気のある娯楽がある」としながらも、これらには物理的な制約があるため、「日本のプレイヤーはますますインターネットに目を向け、海外のオンラインカジノが日本人向けにゲームを提供している」としている。 この記事が指摘しているように、明らかに日本人に向けて、日本語でさまざまな特典を提示してオンラインカジノ・ゲームに誘導しているサイトがいくつもあることから、すでに多くの日本人が参加していると考えるのは不自然なことではない。しかも、そういったサイトの広告を見かける頻度は今年に入り非常に増えたと感じることからも、営業活動を強化していることがうかがわれる。 いったいどれほどの市場がすでに形成されているのかは見当もつかないが、もっとも親和性が高い属性と考えられる パチンコ・パチスロプレイヤー(以下、遊技者) を対象に本誌が8月に実施したアンケート調査の中で、オンラインギャンブル(ライブストリーミング、iGaming、スポーツベットを含む)で遊んだ経験の有無などを尋ねた。   パチンコ・パチスロ遊技者では若年層、高頻度層でオンカジ参加率が高い その結果、調査対象である首都圏在住の20代~70代(各年代のサンプル数は均等に割り付け)の遊技者の27....

タイの「カジノを含む大型複合娯楽施設」はあっというまに開業するだろう。

多額のお金を消費してくれる外国人客の誘致により経済を活性化させるため、また、違法ギャンブルビジネスへの消費の流出を防ぐために、タイ王国は、カジノを含む大規模な複合娯楽施設(Entertainment Complexesと呼ばれている)を開設する法律的な準備(=カジノ合法化)を進めている。3月28日の下院では出席議員257人中253人が賛成票を投じ、この結果が内閣に送られた。そもそもタイ国王(ラーマ10世)が非常に前向きらしいので、カジノ合法化はほぼ確実とみられている。 日本のカジノ合法化議論の起点をどこと捉えるかは、いろんな見方があるだろうけど、個人的には、石原都知事の「お台場カジノ構想」発表(2002年)によって火が付いたと思っている。だとすると、IR推進法成立(2016年)まで14年もかかったことになる。IR実施法成立(2018年)から国内IR第1号の夢洲IRの開業予定時期(2030年)まで12年もかかる見込み。 こういった日本の状況を振り返り、「タイに実際にカジノを含む複合娯楽施設が開業するのはずっと先のことでしょ?」と思う人もいるかもしれない。しかし、日本の進みの遅さが異常なのであって、タイのカジノは、あっという間にできるだろう。3~4年もかからない。なんせ、タイのセター政権は、法律が成立したら「2年以内にオープンさせる」という目標を掲げているのだから。 そしてタイ労働省は、この複合施設(複数)開設による雇用創出を「少なくとも5万人」と見込んでいる。日本で構想されているIRよりも小型の施設が想定されているため、この雇用者数見込みから逆算すると合計施設数は6~8施設を念頭に置いているのだろう。 立地として目されているのは、国際空港から半径100km圏あるいは特定の観光地域、国境(入国検問所)の近く。地元メディアが例として挙げた地名は、南部ならPhuket(プーケット), Phangnga(パンガー), Krabi(クラビ), 北部ならChiang Mai(チェンマイ), Chiang Rai(チェンライ), Phayao(パヤオ)。 text Tsuyoshi Tanaka

メルコリゾーツ 2025年にスリランカでカジノ施設開業目指す

マカオで「シティ・オブ・ドリームズ」などのカジノを含む統合型リゾート(IR)を運営するMelco Resorts & Entertainment(以下、メルコ)は4月30日、スリランカのJohn Keells Holdings(以下、ジョン・キールズ)とのパートナーショップを発表した。ジョン・キールズはコロンボ証券市場に上場するスリランカ最大規模の複合企業グループで、メルコはジョン・キールズがコロンボ中心部で進めている10億米ドル(約1545億円)規模のIR開発プロジェクト「Cinnamon Life Integrated Resort」(2019年に部分開業)に参画する。メルコとのパートナーシップにより同IRのブランド名は「City of Dreams Sri Lanka」に変更され、客室数800室以上のホテル、リテール、飲食店、MICE、そしてカジノを含むリゾートになる。 メルコが全額出資した子会社は、すでにスリランカ政府から20年間のカジノライセンス付与されている。メルコは「City of Dreams Sri Lanka」のカジノフロアと、ホテルの最上階の113室を運営する。同社の発表によると、カジノへの初期投資額は約1億2500万米ドル(約193億円)。 ノンゲーミング施設の完成は最終段階にあり、2024年第3四半期(7月-9月)の完成予定。カジノ施設の開業は2025年の半ばを見込んでいる。 メルコの会長兼最高経営責任者であるローレンス・ホー氏は、「私たちはスリランカには計り知れない可能性があると信じており、この機会は私たちの既存の不動産ポートフォリオを補完するものです。City of Dreams Sri Lankaはスリランカの観光需要を刺激し、経済成長を促進する触媒として機能することが期待されています。 私たちはこの事業を確実に成功させるために、パートナー企業およびスリランカ政府と緊密に協力し続け、地元社会と経済に大きくプラスの影響を与えることを期待しています。」とコメントしている。 スリランカ最大の都市コロンボには、政府ライセンスのもとに営業している地元資本のカジノが4軒が営業している。このうち3軒の客層は明らかに外国人(主としてインド市場)が大多数を占め、「City of Dreams Sri Lanka」の開...

パチンコ頻度が減ると競馬の頻度も減る

パチンコ・パチスロプレイヤーの公営ギャンブル参加者率はノンプレイヤーの5倍から6倍。つまり、ギャンブルレジャーに積極的な人々だ。 レジャー予算が限られているとしたら、ある種目を遊ぶ頻度を増やした人は、他の種目の頻度を減らさざるを得ない。つまり、各レジャー種目どうしはコンペティターということになる。 これまでにもサーベイによって、遊技頻度が減ったパチンコ・パチスロプレイヤーが代わりにどのレジャーの頻度を増やしたのかを調べようと試みたが、はっきりしたことはわからなかった。 数年前に他社の調査研究部門も同様のサーベイの結果、「パチンコ・パチスロへの支出を減らした人が、どういうレジャーに支出を増やしたか、明確なものは見つからない。つまり、直接的にパチンコ・パチスロの代替となっているレジャーはないのかもしれない」と結論付けた。 今年2月上旬にエンタテインメントビジネス総合研究所(Entertainment Business Institute)、シーズ(SEES)、アミューズメントプレスジャパン(Amusement Press Japan)が合同で実施した『パチンコ・パチスロプレイヤー調査2019』では、全国の18歳~69歳の男女3万1240人への調査の中で、パチンコ・パチスロ以外のレジャーについても参加状況を尋ねている。この分析から下記の結果を得ている。※参加者とは、過去1年間に1回以上その種目を遊んだ人を指す。 パチンコの参加者率は9.4%(推計911万人) パチスロの参加者率は7.1%(推計685万人) ※少なくともどちらか一方を遊んだ参加者(=遊技参加者)は1015万人 競馬の参加者率は9.9% 競艇の参加者率は4.1% 競輪の参加者率は3.6% オートレースの参加者率は2.9% 成人全体における公営ギャンブルの参加者率は上記の通りだが、遊技参加者における公営ギャンブル参加者率はぐっと高まり、下記のようになる。 競馬の参加者率は43.7% 競艇の参加者率は29.4% 競輪の参加者率は26.0% オートレースの参加者率は23.8% 確率上は、パチンコ・パチスロをやらない人が100人集まっても、その中に競馬をやる人は6、7人しかいない。しかし、パチンコ・パチスロをやる人が100人集まれば、そこには競馬をやる人は43人も...

ゲーミング・スタンダード協会 通信プロトコルに関するセミナー開催

アメリカに本拠を置く非営利法人インターナショナル・ゲーミング・スタンダーズ・アソシエーション( International Gaming Standards Association 、以下IGSA)は6月2日(太平洋標準時刻)、ゲーム管理システム(Game to System,以下G2S)についての ウェビナー (オンライン・カンファレンス)を開催。「G2Sシステムはどのようにゲーミング産業に価値をもたらしているか?」というテーマに沿い、ゲストスピーカーそれぞれの立場からG2Sのメリットを語った。 G2Sとは、EGM(電子ゲーム機)と自社システムの間で情報を交換するための、IGSA標準の通信プロトコル。ソフトウェアのダウンロード、リモート構成、リモートソフトウェア検証、ネイティブの組み込みプレーヤーユーザーインターフェイス(PUI)など、多くの高度な機能を可能にする。 ゲストスピーカーにゲーミング業界のスペシャリストとして、Paul Burns氏(Atlantic Lotteriesの戦略&マーケティング担当シニアマネジャー)、Erik Karmark氏(Western Canada Lottery CorporationのGaming and Operations担当バイスプレジデント)、Greg Bennett氏(Alberta Gaming Liquor & Cannabisの技術製品&コンプライアンス担当シニアマネジャー)を招へい。IGSAのMark Pace氏(ヨーロッパ担当マネージング・ディレクター)がモデレーターを務めた。   VLT(ビデオ・ロッテリー・ターミナル)とスロットマシンのシステムと機器の統合に携わってきた立場から、Greg Bennett氏は、「G2Sプロトコルはカジノ管理委員会に於いて認証許可を受けており、これを使用することで得られた最大のメリットはゲーム機器に情報をダウンロードできること」だと述べた。 「ゲームのダウンロード、OSのダウンロード、請求書アクセプターのダウンロード、カードリーダー、さらにはプリンター等々。非常に広い管轄地区内のすべての場所に、技術者が物理的に出かけてソフトウェアをアップグレードするとしたら数カ月はかかるであろう作業が、数時間でできる。これによりソフトウェアの更新をより...