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中国の「カジノ国への渡航制限」は日本IRに影響を及ぼすか?

2019年の訪日外国人旅行消費額4兆8千億円のうち中国・香港からの旅行者の支出は実に44%を占めている。訪日客数で見ると中国・香港からが全体の37%を占め、ヨーロッパ(6%)や米国(5%)からの訪日客数を大きく上回る。中国の経済成長を考えれば、日本IRが開業するころには中国からの訪日客への依存度はさらに高まっているはずだ。中国政府は昨年、カジノを有する近隣国・都市への渡航規制を実施すると公表した。対象国・都市は明らかにされていないが、「渡航規制」という政策は将来の日本IRの脅威にならないのだろうか? カジノ業界のベテラン・コンサルタント、アンドリュー・クレバノウ氏に中国の「ブラックリスト・システム」の背景と見通しを解説してもらった。           *       * 文=アンドリュー・クレバノウ(Klebanow Consulting 代表) By Andrew Klebanow, Principal, Klebanow Consulting 江田憲司衆院議員(立憲民主党)が2月に提出した質問主意書は、「中国は、海外のカジノが自国民の財産や安全を脅かしているとして、カジノがある外国都市への渡航を制限するブラックリスト制度の創設を公表した」として、日本がブラックリストに加えられた場合、日本IRは中国人観光客の来場を期待できなくなるのではないかとの懸念を示し、日本政府の見解を問うた。 中国政府はブラックリストに載せた国々を明らかにしていないが、おおむね察しはついている。それらの東アジア諸国では、COVID-19パンデミック後の観光経済の再開時に、中国からの旅行者を迎え入れることができない可能性が大きい。中国が報復の形として、自国民の他国への渡航規制を発動したのは初めてではない。記憶に新しいのは2016年で、韓国が米国製のミサイル防衛システムを配備したことへの報復として、中国政府は韓国への渡航を制限した。韓国への中国人観光客は50%も減少し、顧客の大部分を中国人客に依存している韓国のカジノ産業(17あるカジノのうち16が外国人専用カジノ)に大きな打撃を与えた。 中国がブラックリストを作った理由 20年近くの間、東アジア諸国のカジノは中国人にギャンブルを提供してきた。それらのカジノは、カジノゲストを募集し航空輸送を手配しギャンブルのクレジット(与信)を提供する中国の事...

中国当局:自国民の海外カジノ都市への渡航制限を公表。日本IRの事業計画にも影響か?

中国文化観光部は1月26日、自国民がカジノのある海外(近隣アジア国)の都市に行くことを制限すると発表した。 中国国営通信社「Xinhua News Agency」(=新華網/日本では新華社通信と呼ばれている)の1月26日付けの報道によると、中華人民共和国文化観光部(Ministry of Culture and Tourism, MCT)は同日、中国人のギャンブル目的の海外渡航先ブラックリストにいくつかの国を追加すると発表。それと同時にMCTは、このリストにある海外の都市に向かう中国国民に対して、旅行制限を課すと付け加えた。 昨年12月には、ギャンブル目的で中国本土の中国人を募集することを犯罪行為とみなす刑法改正が承認されており、これが3月1日に施行される。これに加えてギャンブル目的の渡航を規制することで「中国国民の生命と財産を保護する」という。 これにより、対象国とされた国では、COVID-19が収束した後のカジノ産業、観光産業の回復に大きな影響がでることは避けられない。また将来、ブラックリストに日本が加えられる可能性も否定できないことから、日本で進められている統合型リゾート(IR)の事業計画も、これをリスクとして織り込む必要があるだろう。その一方で、マカオ特別行政区のカジノ産業は急速な回復が期待される。 「ブラックリスト」(blacklist system for cross-border gambling tourist destinations)はMCT、外務省、公安を含む複数の部門の連携により2020年8月に作成されたもので、主として中国人を引き付ける目的でカジノ営業が行われている近隣国が挙げられているという。 カジノ産業メディアGGRASIAは投資アナリストの見解を引用し、このブラックリスト対象国がカンボジア、ベトナム、フィリピンなど東南アジアの新興カジノ経済区およびオーストラリアだろうとしている。 by Tsuyoshi Tanaka [参考] 新華網: China to blacklist more overseas gambling destinations  

カジノは斜陽産業なのか?

かつて某米系コンサルティングファームの日本代表を務めた、ビジネス界のスーパースターだったO氏はこれまで何度も「カジノは斜陽産業」「アトランティックシティは...」を繰り返してきました。 しかし、 「カジノが斜陽産業」 という点は、少なくともアメリカには当てはまりません。アジア地域にもあてはまりません。 AGAの資料によるとアメリカの24州での商業カジノ産業( Commercial Casino=トライバルカジノでないカジノ)の総ゲーミング収益は4年連続して前年を上回り、2018年は2017年より3.5%増の 416.8億ドルで過去最高を更新しました。 2018年のゲーミング収益が前年を上回ったのは24州のうち12州で、特定の州のみが産業をけん引したわけではないことがわかります。 ちなみに、1992年に成立したスポーツベッティングを禁じる連保法(PASPA)が2018年に覆されたことで、同年末までにデラウェア州、ミシシッピ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ペンシルバニア州、ロードアイランド州、ウェストバージニア州の7州がスポーツベッティングを合法化しました。※1992年のPASPA法成立後も、スポーツベッティングはネバダ州、モンタナ州、デラウェア州、オレゴン州で限定的に運営が認められていた。 これによるスポーツベッティング市場は急拡大しましたが、2018年の収益は4.3億ドルであり、総カジノ収益の約1%に過ぎません。ランドベースカジノの収益が増加しているのです。 また、O氏は 「マカオでも14年以降、カジノ収益が大幅に落ち込んでいる。」 とも書いていますが、これも情報が更新されてないのかもしれません。マカオのカジノ市場は2015年に大きく落ち込みましたが、以降、3年連続して増加していて2012年の水準に戻しています。資金洗浄が厳しく取り締まられた後の回復であり、かつ、フィリピンやカンボジアに中国人客が流れている状況を考えれば、マカオ市場は健闘していると言っていいと思います。 アジア地域を見渡せば、フィリピン、カンボジアが沸騰状態で、合算すればプラス成長でしょう。 フィリピンの「オカダマニラ」の業績は絶好調です。また、中国人客をターゲットにしたオンラインカジノも盛況です。ドゥテルテ大統領は中国政府からのオンラインカジノを...

インバウンド 2020年 目標達成は絶望的

中国・武漢発の新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界の各航会社が中国便を運休にする動きが広がった。日本は中国人の入国規制は非常に限定的だが、春節の書き入れ時に中国人旅行者は激減、「観光公害」と呼ばれるほど増えすぎた観光客に苦慮していた京都ですら観光客の姿は消えた。統計の発表を待つまでもなく、訪日外客の大幅な落ち込みは確実だ。 この新型コロナウイルスがなかったとしても、政府目標である「2020年にインバウンド4000万人」は困難な目標だった。日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2019年1月から12月累計の訪日外国人数は前年比2・2%増の3,188万人だった。訪日外国人数を月別に見ると、8月以降は前年を上回ったのは9月のみ。成功裏に終わったラグビーワールドカップ日本大会期間中の10月でさえ、前年を下回っていたのだ。 主要因は日韓関係の悪化による韓国人客の激減で、8月以降では前年比で6割も減っている。ラグビーワールドカップ日本大会期間中にイギリスからの訪日客が前年比85%も増加したが、年間で見れば訪日客に占めるイギリス人の割合はわずか1・3%に過ぎない。 訪日外国人の総消費額は前年比6・5%増の4兆8,113億円、1人当たりは同3・5%増の15万8千円。1人当たり旅行消費額が顕著に低かった韓国人旅行者数が年間で26%も減った代わりに、中国人をはじめとする1人当たり旅行消費額が韓国人よりも高い他国からの訪日客が増えたことで、総消費額も1人当たり消費額も過去最高になった。 政府がインバウンド増を目標とするのは、経済効果に期待するからだ。もっとも直接的な経済効果が、訪日外客の旅行消費だ。政府が掲げている2020年の目標は8兆円であり、現状に3兆2000億円上積みしなければならない。オリンピックイヤーとはいえ、年間訪日客が前年を下回る可能性が高くなった状態で、2019年の1・7倍の消費額を達成することは極めて難しいはずだ。

ギャラクシー ルイ会長が日本IR市場参入の意欲強調

マカオで大型統合型リゾート(IR)「ギャラクシー・マカオ」などを運営するギャラクシー・エンターテインメント・グループ(GEG)のルイ・チェ・ウー会長(Dr. Lui Che Woo)は、11月10日に行われた第3四半期決算発表会で、今後も日本市場へのコミットメントを継続すると、日本でのIR事業運営への意欲を強調した。 同社の第3四半期(9月30日までの3カ月間)業績は、COVID-19パンデミックの影響でマカオへの訪問者数が依然として回復していないことから、純売上高が前年同期比88%減の16億香港ドル(約214億円)にとどまった。収益は低迷していても人件費等の費用は継続的に発生するため、調整後EBITDAは9億4,300万香港ドル(約126億円)のマイナス。 ただし、第2四半期比では純売上高は34%増、調整後 EBITDA の損失は31%の改善。 中国政府は個人訪問スキーム(IVS)の段階的な緩和を開始したが、中国本土の都市の大半が IVS の申請を再開したのは 9 月下旬のため、第3四半期の訪問客数への影響はほとんどない。これは第4四半期の業績改善要因になると見込まれている。 ルイ会長は日本のIR整備スケジュールが延期されたことに言及し、「GEGのバランスシートは引き続き堅調で、第3四半期の決算では、432億香港ドルの現金および流動性のある投資、397億香港ドルのネットキャッシュを有し、影響はほとんどありません。これにより、統合型リゾートにおける運営管理と新規開発計画において柔軟に対応することができます」と、日本市場を中心とした海外市場の開発も継続すると述べた。 JPモルガンは4月6日の報告書の中で、GEGは手元資金が潤沢にあり、仮に今後の売上がゼロであっても最長で6年間耐えることができると評している。

セガサミーホールディングス  第1四半期売上は33.5%減

 セガサミーホールディングスが発表した第1四半期(4月1日から6月30日)業績によると、売上高は前年同期より33.5%減少し483億8200万円、営業損失は38億5100万円、経常損失は40億9900万円だった。 遊技機事業においてはパチンコ機、パチスロ機のいずれも新作タイトルの販売がなく、販売台数はパチンコ機177台、パチスロ機485台にとどまった。これらの結果、セグメント売上高は27億600万円(前年同期比84.3%減)。 リゾート事業においては、COVID-19拡大防止のため『フェニックス・シーガイア・リゾート』を休業したことで利用者数が前年同期比76.7%減と大きく落ち込んだ。また、日本国内におけるIR参入に向けた費用が発生。海外においては、韓国・仁川で運営する統合型リゾート『Paradise City』のカジノ施設の1月から3月のドロップ額(テーブルにおけるチップ購入額)が前年同期比で10.8%減、カジノ来場者数が同19.5%減。※『Paradise City』を運営するPARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.は12月決算のため3カ月遅れで計上 以上の結果、リゾート事業の売上高は前年同期比81.1減の4億6400万円、経常損失は21億3500万円となった。 『Paradise City』のカジノ施設が本格的にCOVID-19の影響を受け始めたのは3月に入ってから。3月以降は渡航制限に伴い日本や中国からのVIP客の訪問が困難になったほか、施設が休業対応を行った。4月以降は日本と中国のVIP客はほとんど来場しておらず、これにより4月から6月のドロップ額は前年同期の5分の1程度に減少している。この業績はセガサミーホールディングスの第2四半期業績に反映されることになる。

マカオのカジノ収益87.8%減少 新型コロナ感染拡大

中国・武漢発の新型コロナウィルス感染拡大の影響で、マカオのカジノ産業は2002年の市場開放以降で最も厳しい状況に面している。博彩監察協調局(DICJ)の発表によると、2月のカジノ収益(GGR)は前年同月比87.8%減という大幅な減収になった。本来であれば春節で、多くの中国人客の来場が期待できた月だ。投資顧問会社バーンスタインの予測によると、3月のカジノ収益も前年比80%程度減少する見通しだ。 マカオでは、新型コロナウィルス感染拡大を防止するため、41あるすべてのカジノ施設が2月5日0時から15日間閉鎖された。これほどの長期間、すべてのカジノを営業停止にする措置はマカオで前例がない。この措置は、マカオでの確認例が10人になり、このうち2人がIR施設の従業員だったことを受け、行政長官が2月4日に発表した。感染が確認されたIR施設の従業員はいずれもゲーミングフロア勤務ではないが、従業員食堂を利用していた。 4日夜11時以降、カジノは新たな客の入場を断った。すでに中で遊んでいる客には0時までに施設から退場するようアナウンスしており、規制機関の職員の立ち合いの元、0時に扉が締められた。行政長官名により営業を停止したのはカジノ施設のみだが、これに伴い20以上のホテルが一時休業に入った。 20日に予定通り営業停止期間は終了したが、カジノ営業は部分的な再開。厳しい入境規制がありメインランドからの旅客者はほとんどなく、街もIR施設内も静まり返ったままだ。

マカオ 4月のカジノ収益 前年比97%減

マカオ特別行政区のゲーミング産業の規制機関、博彩監察協調局(DICJ)によると、4月のカジノ収益(GGR)は前年同月比96.8%減の754million パタカ(約100億円)。この収益額は前月の14%にとどまっており、収益減は一層深刻になっている。 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのマカオ政府は、2月5日からマカオにある41のカジノすべてを15日間閉鎖した後、。予定通り2月20日から営業を再開。3月2日から政府の公共サービスも通常どおり再開されている。しかし中国本土からの入境制限が続いているため、カジノの主な客層である中国本土のからの富裕層が戻ってきていない。

マカオのカジノ収益(GGR) 1月度は前年比36%

マカオ特別行政区のゲーミング産業の規制機関、博彩監察協調局(DICJ)によると、マカオ内の全カジノ施設の1月度のカジノ事業収益(GGR)は、2カ月連続して微増し80.2億パタカ(約1053億円)だった。ただし、依然として前年同月比を63.7%下回っている。 マカオではCOVID-19拡大防止のために昨年2月にカジノ施設を15日間閉鎖したほか、中国本土からの越境者を含めた入境規制を実施している。昨年1月から12月のカジノ事業の累計収益は604.4億パタカ(約7773億円)で2019年を79.3%下回った。部門別に見ると、カジノ収益の5割近くを占めるVIPバカラが2019年より80.6%減少した。今年1月もこの状況が継続しているようだ。   【関連記事】 ▼ 中国当局:自国民の海外カジノ都市への渡航制限を公表。日本IRの事業計画にも影響か? [2/04/2021]   ▼ マカオのカジノ収益(GGR) 12月度は前年比34% [1/05/2021] ▼ Macau 2025 and Beyond マカオは非カジノ観光要素を拡大する 文=デスモンド・ラム教授 [12/22/2020]   ▼ アジアのカジノ産業 COVID-19の影響と今後の展望 [6/05/2020]   ▼ マカオのカジノ収益87.8%減少 新型コロナ感染拡大 [3/02/2020]   ▼ マカオ カジノ産業20年の紆余曲折 文=ジョージ・ゴディーニョ教授 [12/27/2019]   ▼ 2019年 統合型リゾート開業に関連する大きな出来事 [12/27/2019]    ▼ マカオ 依存対策の関心高まり 自己申告・家族申告が急増 [10/30/2019]   ▼ マカオ 「従業員の勤務外のカジノ入場禁止」施行 12月に迫る [10/10/2019]

Macau 2025 and Beyond マカオは非カジノ観光要素を拡大する

世界的なCOVID-19パンデミックはいつ収束するのか見通しが立たない。これによる経済への影響は、6月25日以降、新規感染者ゼロを続けているマカオでも例外でない。それどころかむしろ甚大な影響を受けている。では、専門家はマカオの主要産業であるIR産業の5年後をどう見ているのか。マカオ大学経営管理学部 統合型リゾート&ツーリズムマネジメント学科のデスモンド・ラム教授が解説する。 by DESMOND LAM Desmond Lam is a Full Professor in Integrated Resort and Tourism Management at the University of Macau. A life member of Clare Hall, University of Cambridge, Prof. Lam is also a regional assistant editor for International Gambling Studies and a judge for International Gaming Awards, Asia Gaming Awards and IAG Power 50. マカオでは、カジノ・ゲーミング・コンセッショネア(営業権)の更新が2022年に控えているため、IR業界では今後数年間で大きな構造変化が発生する可能性があります。マカオがCOVID-19パンデミック後の将来を描くには、多くの問題があるのです。 とはいえ、2021年以降については希望と楽観的な見方がなされているのです。マカオのゲーミング業界は、2025年までに2019年の水準に戻ると目されていて、収益は少なくとも300億米ドル(約3.1兆円)、訪問者の到着数は年間3,000万を超えているでしょう。 本稿では2025年以降のマカオについて考えてみます。1社独占だったカジノ営業が自由化された2002年以降、マカオは常に「世界の観光とレジャーの中心地」を目指してきて、見事に中国・香港・マカオを結ぶ「粤港澳大湾区」(グレーターベイエリア、GBA)内の輝かしいスポットになりました。 ゲーミング部門は現在、マカオ経済の主要な推進力であり、政府の財政に大きく貢献しています。中期的な将来もその役割は続くでしょう。しかしマカオ政府は、ゲーミング以...

日本版統合型リゾート(IR)誘致は3箇所で進行中 ~これまでの流れの要点整理 2021

8月22日に行われた横浜市長選挙で、IR誘致撤回を掲げて立候補した山中竹春氏が勝利し、9月上旬に予定されていたIR設置運営事業者の選定が中止されたことは記憶に新しい。横浜市は5月17日を参加資格審査書類の提出期限にして、「特定複合観光施設設置運営事業」の設置運営事業者公募(RFP)を実施していた。このRFPに参加したゲンティン・シンガポール・リミテッドを代表企業とするコンソーシアムには、綜合警備保障、鹿島建設、竹中工務店、大林組とともにセガサミーホールディングスが名を連ねていたので、遊技業界関係者も注目していたはずだ。  横浜市のIR構想は消えたが日本のIR構想が消えたわけではなく、国土交通省は10月1日から区域認定申請の受付を開始した。  IR整備のこれまでの流れと、主要自治体の状況を整理する。 ▼IR推進法と実施法の成立  「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(通称:IR推進法案)は2013年12月に国会に提出され翌年6月に衆議院内閣委員会で審議入りしたものの、秋の衆議院解散によって廃案になった。IR議連がこれを国会に再提出したのは2015年4月28日。審議はなかなか進まず、成立したのは2016年12月。IR推進法はあくまでもIRについての基本的な考え方を示した上で、「政府はIR推進法の成立から1年後をめどに、IR整備に必要な法制上の措置を講じなければならない」旨を規定した法律。  IR推進法の成立を受けて内閣の特定複合観光施設区域整備推進本部(IR推進本部)によって策定された「特定複合観光施設区域整備法案」(通称:IR整備法案、IR実施法案)は、2018年4月27日に閣議決定し国会に提出されて、同年7月20日に成立した。IR整備法で定められた認定区域整備計画の数の上限は3カ所。認定申請に当たっては、都道府県はその議会の議決及び立地市町村の同意、政令市はその議会の議決が要件とされた。  IR区域整備の意義や目標、区域認定に関する基本的な事項等を規定した「基本方針案」が策定・公表されたのは2019年4月。IR区域認定を申請する都道府県等は、「基本方針」に示された認定基準に従って、IR事業者の募集・選定手続等を定めた「実施指針」を作成し、公募によりIR事業者を選定するという流れになる。  「基本方針」が成立したのは2020...

2020年の業界動向 ~IR開業プロセスの課題

2018年に「特定複合観光施設区域整備法」が成立してから、カジノ管理委員会の設置、IR基本方針の策定・公表が大幅に遅れている。日本IRへの参入を目指した中国企業による衆議院議員への贈賄事件の捜査が進む中、1月7日には予定通りカジノ管理委員会が設置された。 月刊アミューズメントジャパン2月号では、IR開業までのプロセスの整理と、いくつかの課題を指摘した。 日本市場参入を目指すIR事業者や投資家にとって、区域認定の有効期間がわずか10年であり、開業時には7年程度しか残っていないことは大きな不満だ。大阪・夢洲IRの万博前の開業は現実的でなく、開業が万博後になると、区域認定の最初の有効期間の残りは5年数カ月しかなくなる可能性がある。 これまで各事業者は、顧客へのコンプやプロモーションの規制などカジノの集客・運営に影響する部分が明示されていない中で、短期間で巨額の投資を回収することを念頭に置きつつ、投資規模をアピールせざるを得なかった。観光庁のIR基本方針の公表は先送りされることが固まった。管理規則の公表も遅れることになる。 多々ある不安要素の一例が、国税庁がカジノでの勝ち金への課税、個々の顧客の勝ち額の捕捉・管理を事業者に要求する案を持ち出した件だ。あの件は、「立ち消えになったわけではない」と捉えるべきだ。 そもそも、プロセスが「いびつさ」であり、事業者選定にあたり自治体を悩ませるはずだ。事業者を選ぶ時点で、その事業者がカジノ免許を付与されるかどうか知りようがないのだ。自治体はこれを念頭に置いた評価要素の重みづけを強いられるはずだ。 IR企業は誘致地域の企業とコンソーシアムを組むことになるだろう。複数の地域企業の合弁によって設立された企業が、IR企業と新たな法人を設立する構想を描いている地域もある。だが、ネバダ州のゲーミング法に準拠すれば、背面調査の対象はコンソーシアムの構成企業だけでなく、その企業の社外にいる“影響力のある人物”にまで及ぶ。 カジノが得意顧客に提供するコンプ(Complimentary)として、地域の他法人が経営する施設での食事や宿泊などを提供することへの期待もある。だが、カジノと提携することになるこの事業者も、背面調査の対象となる。こういった厳格さが、地域の民間企業の足並みを乱すことになるかもしれない。

パラダイス(韓国)第2Q業績 カジノ収益はコロナ禍で最低

カジノリゾート事業を核にする韓国を代表するレジャー企業パラダイス(Paradise Co., Ltd.)は8月11月、第2四半期(4月1日~6月30日)の業績を発表。連結売上はホテル売上が第1Qよりも改善したことで前年同期比13.4%増の846億ウォン(約80億円)。純利益は235億ウォンだがEBITDAは25億ウォンの赤字。 外国人専用であり日本及び中国からのゲストが大半を占めるカジノ事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けている。カジノ売上は第1Q比で34.7%減少し、前年同期比13.6%減の445億ウォン。新型コロナの影響が本格化した2020年4月以降で最低となった。 同社子会社であるパラダイスセガサミー(Paradise SegaSammy Co., Ltd.)が仁川国際空港エリアで運営する統合型リゾート「パラダイスシティ」単体では、売上は前年同期を22.3%上回る318億ウォン(約30億円)、EBITDAは19億ウォンの赤字、純損失は277億ウォン。ただし、これら業績は第1Qを下回った。 部門別に見ると、ソーシャルディスタンスの緩和でホテル業績が回復し、前年同期比でほぼ2倍の169億ウォンになった。その一方で、カジノ部門の売上が同12.9%減少し139億ウォンにとどまった。第1Q比では54%も落ち込んだ。カジノ部門の売上は、同社ウォーカーヒルと比較して、パラダイスシティの落ち込みが大きい。

新型コロナウイルス パチンコ業界にも打撃

中国・武漢市発の新型コロナウイルス感染症の拡大は、旅行者の減少だけでなく、大型イベントの中止により経済に深刻な影響を与えはじめている。 2月12日には、2月下旬にスペイン・バルセロナで開催予定だった世界最大のモバイル関連見本市「MWC(Mobile World Congress)」が開催を断念したのをはじめ、世界中で展示会が中止になっている。 国内では1月29日に、2月4日に福岡市で開催予定だった「福岡クルーズ会議2020」を中止。2月14日には、2月末からパシフィコ横浜(横浜市)で開催予定だった世界最大規模のカメラ見本市「CP+2020」が中止を発表した。 パチンコ業界にも影響が及んだ。17日に、県からの連絡により新型コロナウイルス陽性反応の客が来店していたことが判明した和歌山県のホールは、18日から臨時休業に入った。同店は臨時休業の期間を、「店内の消毒及び従業員のウィルス検査が終了するまで」としている。 ある遊技機メーカーは18日、翌週に開催を予定していたショウルームでのファン試打会を中止にした。参加者の安全を最優先に考慮した結果だ。今月後半に予定されている別の遊技機メーカーによる大規模イベントではすでに、手洗い消毒設置、定期的なアルコール消毒の実施、来場者と出演者の接触行為(握手・ハイタッチ等)の禁止などの対策を決定、告知している。 [追記 2月19日] パチスロメーカー大手、ユニバーサルエンターテインメントとサミーは18日、2月22日に開催を予定していたファン向けの大型イベント「ユニバカ×サミフェス」の開催延期を発表した。

5月のマカオのカジノ収益は前月比24.3%増

マカオ特別行政区のゲーミング産業の規制機関、博彩監察協調局(DICJ)によると、マカオ内の全カジノ施設の5月度のカジノ事業収益(GGR)は前月より24.3%増加し1,0445百万パタカ(約1,439億円)だった。3カ月連続して増加。 マカオでは感染症防止対策として昨年2月に全カジノ施設を15日間閉鎖し、月間のGGRは前年の12%に落ち込んだ。しかしその後の中国本土からの越境制限強化などにより、さらに厳しい状況になった。 今年の5月までのGGRの累計は42,487百万パタカ(約5,856億円)で前年同期を28.7%上回っている。

マカオ 6月のカジノ収益 97%減

マカオ特別行政区のゲーミング産業の規制機関、博彩監察協調局(DICJ)によると、6月のカジノ収益(GGR)は前年同月比97.0%減の716 million パタカ(約96.8億円)。上半期(1月1日から6月30日まで)の収益は前年同期比77.4%減の33,720 millionパタカ(約4559億円)にとどまっている。 マカオは中国人に関して、過去14日間以内に外国、香港、台湾に滞在歴がない場合は入境可能としているが、高流行エリアから入境する場合には医学検査ステーションで医学検査の対象。

IR基本方針の発表は2月以降

カジノ管理委員会は予定通り1月7日に発足 東京地検特捜部が、内閣府の前副大臣でIR担当だった秋元司衆議院議員(48) を収賄の疑いで逮捕したのは12月25日。メディアが連日「IR汚職」と報じ政府のIR推進態勢を批判する中、カジノ管理委員会は1月7日、予定通り内閣府の外局として設置され、北村道夫(元福岡高検検事長)委員長のほか4人の委員が就任した。 7日の記者会見で、カジノ管理委員会に関する事務を担当する武田良太内閣府特命担当大臣は記者の質問に答え、「現職の国会議員が逮捕されたということに関しましては、本当に遺憾なこと」とした上で、「この管理委員会は、IR整備法で定められた厳格なカジノ規制の実施、そして健全な運営を確保するという任務を担っており、厳正かつ公正にカジノ事業の免許審査などを行っていかなくてはなりません。国民の信頼をしっかりと集められる、信頼性の高い公正・公平な独立性を確保した組織として運営をしていただきたい、ということに尽きる」と述べた。 カジノ管理委員会は10日に初会合を開催。今後「カジノ管理委員会規則」を策定し、カジノ免許の審査基準、カジノ施設内に導入可能なゲームの種類やルール、関連機器の技術上の基準、コンプの規制など運営ルールの細部を定める。北村委員長は10日の会合後、カジノ管理委員会規則の制定時期について「現時点では答えられない」とコメント。 基本方針決定先送り、区域申請期間は変更なし 政府は1月20日、当初、カジノ管理委員会の発足後すみやかに決定・公表する予定だったIR基本方針の決定を2月以降に先送りする方針を固めた。国土交通省の外局である観光庁は昨年9月に、「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」を公表しているが、中国企業500.comによる汚職事件を受け、世論の動向を見極める必要があるとの判断だ。 IR誘致を目指す都道府県等は、国土交通省の基本方針をもとに各自治体の実施方針を策定し、IR事業者の公募プロセスに進む。大阪府・市と長崎県は基本方針の公表を待たずに昨年12月に実施方針素案を公表している。 国土交通省が都道府県等からのIR誘致申請(区域整備計画の認定申請)を受け付ける期間については昨年11月19日に、「2021年1月4日から同年7月30日まで」とする政令案が公表されているが、現時点でこのスケジュールは変更されていな...

マカオ 3月のカジノ収益 前年比8割減

マカオ特別行政区のゲーミング産業の規制機関、博彩監察協調局(DICJ)によると、3月のカジノ収益(GGR)は前年同月比79.7%減の5,257 million パタカ(約709億円)と2月に続き危機的な状況が続いている。 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのマカオ政府の対応は早く、2月5日からマカオにある41のカジノすべてを15日間閉鎖した。カジノは予定通り2月20日から営業を再開、3月2日から政府の公共サービスが通常どおり再開されている。しかし、中国本土からの入境を制限しているためカジノに客は戻っていない。

マカオのカジノ収益  11月は前年の3割にとどまる

マカオ特別行政区のゲーミング産業の規制機関、博彩監察協調局(DICJ)によると、マカオ内の全カジノ施設の11月のカジノ収益(GGR)は、10月より減少し、6,748 million パタカ(約884.6億円)にとどまった。前年同月比ではマイナス70.5%で依然として苦境が続いている。1月から11月の累計収益は52,623 million パタカ(6898.4億円)で前年同期比ではマイナス80.5%。 マカオは初期段階からCOVID-19拡大防止のために厳しい対策をとっており、6月25日以降、新型コロナウイルス感染者は確認されていない。現在も日本を含む海外からの入境を禁止している。 中国政府は8月中旬に珠海市民へ、8月下旬に広東省民へと個人訪問スキーム(IVS)を拡大させ、徐々にマカオへの入境緩和を進めている。過去7日以内に取得した新型コロナウイルス検査の陰性結果を提示すること等を条件にIVSの発給を受けることができるが、実際にはIVSはほとんど発給されておらず、マカオへの入境者は少ないまま。

2019年 統合型リゾート開業に関連する大きな出来事

2019年も残り4日と数時間。遊技業界の重大ニュースの振り返りはすでに記事にした(週刊Amusement Japan 12/9号)ので、日本のIR開業プロセスに関する重大な出来事を振り返ってみます。(aouthor Tsuyoshi Tanaka) IR整備法施行令(案)公表 2月にIR整備法の「施行令(案)」が公表され、IRの中核施設の具体的な基準・要件の数値が明らかになりました。これによって改めて分かったのは、政府が非常に大きなMICE施設を要求しているということです。「地方都市でこんなに大規模なMICE施設を年間を通じて稼働させられるのだろうか?(=大型の国際会議・展示会を次々と誘致できるのか)」という疑問を抱かざるを得ません。 基本方針(案)公表 9月には観光庁が、IR整備のための「基本方針(案)」を公表しましたが、その冒頭には「IR整備の意義」として、" 国際的なMICEビジネスを展開し、日本の魅力を発信して世界中から観光客を集め、来訪客を国内各地に送り出すことにより、「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光」を実現。"とあります。シンガポールに大きく差をつけられている国際会議・展示会を増やし、ビジネスツーリストを呼び込みたいという考えです。なぜなら、ビジネスツーリストは滞在地での消費額が多いからです。 この「基本方針(案)」でもっとも重要な箇所は、認定審査の基準・審査のプロセス、要求水準でしょう。認定の申請期間は「検討中」として記載されませんでしたが、11月に、<2021年1月4日から2021年7月30日>とする案が公表されました。 横浜市が誘致表明、北海道が誘致見送り表明 誘致を目指す自治体の動きについては、やはり、横浜市の林文子市長がIR誘致を正式に表明した(8月)こと、北海道の鈴木直道知事がIR誘致を見送ると表明した(12月)ことの2つは非常に大きなインパクトがありました。個人的には、鈴木知事がこんなに早いタイミングで、第一次の区域認定申請を「見送る」と決断するとは思いもしませんでした。 サンズ、メルコが大阪から撤退 横浜市の表明は、ラスベガス・サンズ、メルコリゾーツ、ウィンなどの主要オペレーターに、大阪での競争からの離脱を決断させました。大阪府・市が4月25日から8月まで実施したRFCにはそれらをふく...